本沢温泉

本沢温泉

長野県南佐久郡南牧村、八ヶ岳・硫黄岳(2760m)の北東の山腹に位置する温泉が、本沢温泉。明治15年、夏沢峠越えの旅人、そして湯治客相手に商売を始めた歴史ある山小屋で、小屋から少し歩いた野天風呂「雲上の湯」は、標高2150mに位置し、日本最高所の露天風呂です。

標高2150m、日本最高所の露天風呂に入浴!

本沢温泉
日本最高所の露天風呂(標高2150m)、野天風呂「雲上の湯」
本沢温泉

本沢温泉は、当主の矢島雄一郎さんが5代目という老舗。
初代・原田豊三郎が山小屋を築き、2代目が湯治棟を備え、3代目に2つ目の源泉を掘削し、内湯「こけももの湯」を設置したのです。
本沢温泉を起点に今では赤岳頂上山荘、キレット小屋、夏沢峠ヤマネとモモンガの山荘「山びこ荘」も本沢温泉グループとして経営しています。

本沢温泉は、山小屋ながら本館、新館に個室を備えているので(相部屋もあります)、下界の民宿、旅館的な感覚で利用できます。
しかも通年営業(本沢温泉キャンプ場を併設)。
電気は来ていませんから自家発電のため、夜20:00以降は正真正銘の「ランプの宿」になります(懐中電灯の持参を)。

夏季は、一般車、タクシーは本沢温泉入口まで、4WDの車なら未舗装の道を走り林道ゲートまで入ることができます。
本沢温泉入口〜ゲートは、湯川渓谷遊歩道(3km、徒歩40分)、林道ゲート〜本沢温泉は登山道を徒歩1時間35分の道のり。

温泉ファンに人気なのは、内湯「苔桃の湯」(こけもものゆ)と野天風呂「雲上の湯」との泉質が異なることにもあります。
内湯「苔桃の湯」の泉質は、ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・炭酸水素塩温泉で、源泉温度で53.1度、野天風呂「雲上の湯」は酸性-含硫黄-カルシウム・マグネシウム-硫酸塩温泉で、源泉温度40.8度です(現地の温泉分析書による)。

ともに源泉かけ流しですが、とくに野天風呂「雲上の湯」は湯船の足元から湯が湧く温泉ファン垂涎の「足元湧出温泉」となっています。
野天風呂「雲上の湯」は、硫黄岳の崩落斜面を眺めることで知られる絶景温泉にもなっていますが、この断崖は、山体崩壊によるものというのが定説(一部に、爆裂火口と記されるガイド書などもありましたが、近年では山体崩壊説が有力です)。

ちなみに本沢鉱泉から登った稜線の夏沢峠(峠越えの古道の跡)が北八ヶ岳、南八ヶ岳の境で、比較的になだらかで原生林に包まれた北八、急峻な南八が分かれています。
夏沢峠を越えた先、標高2060mの夏沢鉱泉(温泉分析書によればメタケイ酸を規定以上含有する温泉)も、日本屈指の高所温泉。

なお、本沢温泉は、新型コロナウイルス感染症蔓延時には、完全予約制、個室のみで営業となっていて、日帰り入浴は不可。
本沢温泉は八ヶ岳山中にあるので、登山装備(ハイキング程度)でのアプローチが必要です。

撮影/板倉あつし(プレスマンユニオン・温泉ソムリエ)

本沢温泉
名称 本沢温泉/ほんざわおんせん
所在地 長野県南佐久郡南牧村海尻
関連HP 本沢温泉公式ホームページ
電車・バスで JR小海駅からタクシーで40分で本沢温泉入口駐車場、徒歩2時間15分
ドライブで 上信越自動車道佐久ICから約44km、中央自動車道須玉ICから約52kmで本沢温泉入口駐車場、徒歩2時間15分
駐車場 本沢温泉入口駐車場(20台/無料)
問い合わせ 本沢温泉 TEL:090-3140-7312
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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