長崎県佐世保市の針尾島にある海上保安庁の無線送信所が針尾送信所ですが、巨大な3本の鉄筋コンクリート製の電波塔(針尾無線塔)は大正時代に建てられたもので、旧佐世保無線電信所(針尾送信所)施設の名称で国の重要文化財に指定されています。
海軍が建設した長波無線通信施設
日本海軍佐世保鎮守府の無線送信所として、大正7年に着工、大正11年に完成。
建設費は、1基あたり30万円、現在の50億円程度と、いかに軍事的に重要な施設だったかがよくわかります。
電波塔の高さは3本とも136mで(基底部は直径12m)、上空から見ると一辺300mの正三角形に配置されていることがわかります。
電波塔の中心に半地下式の電信室(幅41m、高さ13m、奥行き23m)と呼ばれる通信施設が築かれ、この建物も現存しています。
設計は佐世保鎮守府建築科で、工事監督は真島健三郎(日本で最初に鉄筋コンクリート建築物、煙突などの技術を確立)の指導を受けた吉田直(よしだのぶる)が担当。
大正11年の完成から、昭和29年に名古屋テレビ塔が完成するまで、日本一の電波塔だったもの。
昭和23年から第七管区海上保安本部佐世保海上保安部の所管となり、海上自衛隊と共同で使用していますが、大正11年完成の電波塔自体は、平成9年に後継の無線施設が完成し、現在は使われていません。
旧佐世保無線電信所施設は、現存唯一の長波無線通信施設として、歴史的価値が高く、さらに大正時代における最高水準のコンクリート技術を示すものとして、土木技術史上においても重要で、国の重要文化財に指定されています。
一部が公開され、「針尾無線塔保存会」がガイドや管理を行ない、電波塔内部、電信室内部も見学することができます。
スニーカーなどの歩きやすい履物で見学し、見学の際は、「針尾送信所見学の際の注意」をよく読み、見学にあたっては「針尾無線塔保存会」会員の指示に従ってください。
旧佐世保無線電信所(針尾送信所)施設は、日本遺産「鎮守府 横須賀・呉・佐世保・舞鶴 ~日本近代化の躍動を体感できるまち~」の構成資産にもなっています。
旧佐世保無線電信所(針尾送信所)施設 | |
名称 | 旧佐世保無線電信所(針尾送信所)施設/きゅうさせぼむせんでんしんじょ(はりおそうしんじょ)しせつ |
所在地 | 長崎県佐世保市針尾中町 |
関連HP | 佐世保市公式ホームページ |
ドライブで | 西彼杵道路(西海パールライン有料道路)針尾ICから約2km |
駐車場 | あり |
問い合わせ | 佐世保市教育委員会教育総務部文化財課 TEL:0956-24-1111/FAX:0956-25-9682 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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