展望席で旅しよう(2)伊豆急行「リゾート21」

伊豆急行「リゾート21」

電車の運転席を2階に配置、あるいは運転席背後の少し高い場所に設置したのが展望席。展望席を有しながら、普通乗車券のみで利用でき、しかも全席自由席というのが伊豆急行の「リゾート21」。赤色の「キンメ電車」、黒の「黒船電車」の2タイプが走り、先頭車両と最後尾車両が展望席です。

赤色の「キンメ電車」、黒の「黒船電車」が運行

伊豆急行「リゾート21」
リゾート21「黒船電車」

「キンメ電車」、「黒船電車」ともに7両編成で1号車、7号車がもっとも眺めの良い展望席です。
「運転士の視点」を楽しめるよう、階段状になった席で、伊豆急行の話では先頭の1A、1B、1C、1Dよりも3列目、つまりは3A、3B、3C、3Dの方がワイドに眺めが広がるとのこと。
とくにAB席は海側なので、3A、3Bは海側の展望席ということになります。

普通列車として走る「リゾート21」の展望席は、予約不要ですが定員制で、コロナ禍では使用が禁止されていたので、ふたたび人気を集めているのです(展望席は限定24席)。

運転席との間も完全な仕切りがないので、「出発進行、信号よし」など、運転手が信号などを確認する指差喚呼(しさかんこ)の声も聞こえてくるので、子どもたちにも大人気です。

リゾート21は、「21世紀へ進む鉄道車両へのひとつの提案」として昭和60年にデビューした歴史ある車両。
運転士が独占している先頭展望を生かす、海と山があるのだから左右は非対称で、座席配置を海側に向けるなどの特徴がありますが、展望席に限れば、この「運転士が独占している先頭展望を生かす」が該当する席です。

人気の「黒船電車」(4次車・リゾート21EX)は、平成16年の下田開港150周年を記念して運転を開始した車両で、平成31年2月にリニューアルされています。

JRの特急「リゾート踊り子」としても昭和63年7月に運用が開始されましたが、平成28年5月に運転を終了。
さらに展望が売りのひとつだった特急「スーパービュー踊り子」も令和2年3月13日に運転が終了、現在は「サフィール踊り子」が走っていますが、運転席すぐ後ろの席も展望席とは言い難いので、「リゾート21」は実に貴重な存在なのです。

「リゾート21」の運用は、翌々月の時刻表は毎月末に伊豆急行ホームページに発表されるので、まずはこのチェックを。
熱海〜伊豆急下田に2往復、熱海〜伊豆高原に1往復のA行程、熱海〜伊豆高原に2往復、熱海〜伊東に1往復のB行程があり、「キンメ電車」、「黒船電車」、8000系(東急の車両を車端部以外をクロスシートに改造)で運転しているので、希望の電車を選択できます。

伊豆急線内でもっとも景色に優れるのが、伊豆稲取駅の手前、片瀬白田駅〜伊豆稲取駅間(伊豆諸島を眺望する伊豆急線ナンバーワンのビュースポット)なので、終点の伊豆急下田駅まで、少なくとも伊豆稲取駅まで乗車するのがおすすめです。
伊豆高原辺りからは空くことも多く、のんびりと先頭で景色を楽しむことができます。

リゾート21の展望席を確保するためには、早めにホームに並ぶしかありません。
当然、土休日より平日、オンシーズンより、オフシーズン(ゴールデンウイークや夏休み直後など)のほうが確保できる可能性は高まります。

伊豆急行「リゾート21」
リゾート21「キンメ電車」
展望席で旅しよう(2)伊豆急行「リゾート21」
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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