綿業会館

綿業会館

大阪府大阪市中央区船場にあるルネサンス風のレトロ建物が綿業会館(めんぎょうかいかん)。日本綿業倶楽部が管理する建物は、昭和6年築で国の重要文化財。設計は関西に建築物を残す渡辺節(わたなべせつ=その門下の村野藤吾が細部の図面を描くヘッドドラフトマン)で、綿業全盛時代に迎賓館として建てられたもの。

「東洋のマンチェスター」大阪を物語る迎賓館

綿業会館

東洋紡績専務取締役・岡常夫の遺族、やすこ未亡人から「日本綿業の進歩発展をはかるため」の寄付100万をもとに、関係業界からの寄付50万円を合わせ、日本綿業倶楽部の施設として昭和6年12月28日に竣工。
中華民国国民党政府の要望で、柳条湖事件を調査するため、国際連盟に設置されたリットン調査団(団長・第2代リットン伯爵リットン卿)が来日の際には、この綿業会館が使われるなど、内部は豪華な造りになっています。
各部屋のスタイルが異なるのは、世界各国からの来賓や、会員の好みに応じて、好きな部屋を選んでもらいたいという設計者・渡辺節の配慮によるもの。
ヘレンケラー、犬飼毅、吉田茂などの著名人も利用しています。

各部屋の窓に鋼鉄ワイヤー入り耐火ガラスを使用していたため、大阪大空襲でも大きな被害を受けることなく、現在まで美しい建物は存続し、経済産業省の近代化産業遺産にも認定されています。

館内の見学は毎月第4土曜日に2部制で実施され(完全予約制/日本綿業倶楽部の事務局に電話で予約)、第1部は昼食付きの見学プランになっています。

グリルは日本綿業倶楽部会員、および会員の紹介が必要で、ビーフカレー、ハヤシライス、オムライス綿業風やパスタなどの手頃なものから、牛ヒレステーキ定食、フルコースまで、本格的な洋食を味わうことができます。
結婚式などに利用することも可能。

渡辺節設計の建物で現存しているのは商船三井ビルディング(旧大阪商船神戸支店/大正11年築、神戸市)、ダイビル本館(大阪ビルヂング/外壁と内部一部復元、大正14年築、大阪市)、THE BAYS(旧日本綿花横浜支店/昭和3年築、横浜市)、岸和田市立自泉会館(昭和7年築、岸和田市/国の登録有形文化財)、C.T.L.BANK(旧和泉銀行本店/昭和8年築、岸和田市/国の登録有形文化財)、神戸朝日ビル(旧神戸証券取引所/昭和9年築、神戸市、外観のみ復元)、旧乾邸(昭和11年、神戸市)などがあります。

「東洋のマンチェスター」大阪とは!?

経済産業省の近代化産業遺産には、『東洋のマンチェスター』大阪と西日本各地における綿産業発展の歩みを物語る近代化産業遺産群のひとつ、大阪市の綿産業関連遺産として登録。
明治15年、渋沢栄一の主唱で、日本最初の蒸気力紡績会社、大阪紡績会社が設立(現・東洋紡)、昼夜二交替制のフル操業で好成績を上げています。
その成功を背景に、紡績ブームを呼び起こし、明治20年代になると、尼崎紡績(現・ユニチカ)、和歌山紡績(現・大和紡績)など大阪市街周辺に紡績工場が続々と建設。
日清戦争の後、紡績業を中心に商工業が飛躍的に発展、大阪は「東洋のマンチェスター」と呼ばれるようになったのです。
さらに、昭和初期、日本は紡績業でイギリスを抑え綿製品輸出で世界一に。
そのシンボル的な存在が綿業会館です。

綿業会館
名称 綿業会館/めんぎょうかいかん
所在地 大阪府大阪市中央区備後町2-5-8
関連HP 日本綿業倶楽部公式ホームページ
電車・バスで 大阪メトロ本町駅・堺筋本町駅から徒歩10分
駐車場 周辺の有料駐車場を利用
問い合わせ 日本綿業倶楽部 TEL:06-6231-4881/FAX:06-6231-4940
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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