音無神社|伊東市

音無神社は、伊東市街の中央を流れる音無川(松川)の東岸に鎮座する古社。音無の森と呼ばれる鎮守の森に囲まれた厳かな神社ですが、毎年11月10日に「天下の奇祭」といわれる『尻つみ祭り』が斎行されます。またこの音無の森は『曽我物語』によれば、若き源頼朝と八重姫の逢瀬(密会)の地。それが悲劇を生んでいます。

八重姫と頼朝の悲恋を今に伝える社

毎年11月10日に行なわれる『尻つみ祭り』
毎年11月10日に行なわれる『尻つみ祭り』

音無神社の祭神は豊玉姫命(とよたまひめのみこと)。
『曽我物語』によれば、平治の乱後、14歳で伊豆国の蛭ヶ小島に流された源頼朝は、一時、伊東の小御所で暮らしていたのだとか。
音無神社で頼朝と逢瀬を重ねたのは伊豆国伊東(現・静岡県伊東市)の豪族であり、頼朝の監視役であった伊東祐親(いとうすけちか=伊藤氏のルーツ)の三女、八重姫。
音無の森が逢瀬の場で、対岸の「ひぐらしの森」は、頼朝が八重姫に会うため日暮れを待った所とも。
「音無の森」と「ひぐらしの森」を結ぶ岡橋には、音無の森で密会する頼朝と八重姫が描かれています。
また、「ひぐらしの森」には日暮神社も鎮座し、「恋愛のパワースポット」と考える人もいますが、まずは以下の解説を読んでから、縁結びかどうかの判断を。

『曽我物語』によれば伊東祐親が大番役で上洛している間に血気盛んな頼朝は八重姫と通じ、男子(千鶴丸)までもうけてしまいます。
父・祐親は平家の叱責を恐れ、孫である千鶴丸を松川の轟ヶ淵で柴漬(柴で包んで縛り上げ、重りをつけて水底に沈める処刑法)にして殺害、娘・八重姫を江間(現在の伊豆の国市江間)の小四郎に嫁がせます。
祐親は頼朝追討の兵を向けますが、頼朝は熱海の走り湯権現(現在の伊豆山神社)に身を隠し、さらに北条時政を頼って難を逃れます。この北条時政の娘が正妻となる政子です。

この悲恋ストーリーを記述しているのが『曽我物語』『源平闘諍録』なので、その真偽は定かでありません。
ただし伊豆の国市中条に八重姫を祀った真珠院があり、伊東市の音無神社が逢瀬の場だったという伝承があります。また音無神社近くの最誓寺は、江間小四郎と八重姫開基と伝わる寺で、千鶴丸を祀った寺といわれています。

音無神社|伊東市
名称 音無神社/おとなしじんじゃ
所在地 静岡県伊東市音無町1-12
電車・バスで JR・伊豆急行伊東駅から徒歩14分
駐車場 周辺の有料駐車場を利用
問い合わせ 音無神社 TEL:0557-37-2213
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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