埼玉県立自然の博物館

埼玉県立自然の博物館

埼玉県秩父郡長瀞町、日本の地質学発祥の地といわれる長瀞(ながとろ)、荒川の岩畳近くに建つのが、埼玉県立自然の博物館。埼玉の地質、生物など豊富な資料で展示解説する自然科学系のミュージアム。建物の東側、南桜通り沿いには、「日本地質学発祥の地」の碑も立っています。

秩父を中心に埼玉県の地質や自然を解説

埼玉県立自然の博物館

大正10年に開設された「秩父鑛物植物標本陳列所」が前身。
「地球の窓」と呼ばれる長瀞に昭和56年、埼玉県内唯一の自然科学系総合博物館として開館。

オリエンテーションホールでは、埼玉県立自然の博物館の目玉のひとつになっている巨大ザメ「カルカロドン メガロドン」の復元模型(全長12m)にまずは驚かされます。
2500万年前〜400万年前に世界の海を泳いだ巨大な肉食性のサメで、昭和59年、大里郡川本町(現・深谷市)の荒川河床に分布する1000万年前の地層(比企層群土塩層)からサメの歯化石73本が出土。
1個体分の歯がほとんど揃っていたことから(世界初のこと)、歯の位置関係(歯列)を推定することができ、正確なアゴの復元模型と体全体の生体復元模型の制作が可能となったのです。

オリエンテーションホールのもうひとつの目玉が、秩父の太古の海「古秩父湾」(こちちぶわん)に生息した謎の海獣「パレオパラドキシア」の「全身骨格」の展示です。

地学展示ホールでは、県内に見られる岩石や鉱物、化石、地層などが年代順に展示。

生物展示ホールには、埼玉の低地から山地にに見られる森林や生物を生態的に展示。

長瀞を訪れる際には、埼玉県立自然の博物館でまず長瀞の予備知識をインプットし、ここを起点にして長瀞を散策するプランもおすすめです。

秩父・長瀞は「日本地質学発祥の地」

明治10年、「日本地質学の父」ナウマンが東京大学の初代地質学教授に就任すると、翌明治11年、早速秩父から長野、山梨、神奈川県へ至る調査に出向きます。

ナウマンが着任最初に訪れた秩父は、その後、大塚専一が「秩父古生層」「秩父盆地」を命名するなど、多くの研究者によって秩父地域の地質研究や報告がなされ、明治時代〜大正時代、秩父は多くの地質研究者にとって、地質調査の地として注目され、日本の地質学は秩父で育まれたともいえるのです。

宮沢賢治も、大正5年、盛岡高等学校農林学校の授業の一環で、秩父巡検に訪れ、「つくづくと 粋なもやうの博多帯 荒川ぎしの片岩のいろ」という歌も残しています。
神保小虎らの学術支援のもと、上武鉄道が埼玉県立自然の博物館の前身となる「秩父鑛物植物標本陳列所」を開設しています。

長瀞の岩畳は、秩父ジオパークのジオサイト、埼玉県立自然の博物館は、主要拠点施設になっています。

埼玉県立自然の博物館
名称 埼玉県立自然の博物館/さいたまけんりつしぜんのはくぶつかん
所在地 埼玉県秩父郡長瀞町長瀞1417-1
関連HP 埼玉県立自然の博物館
電車・バスで 秩父鉄道上長瀞駅から徒歩5分、または長瀞駅から徒歩15分
ドライブで 関越自動車道花園ICから約17km
駐車場 32台/無料
問い合わせ 埼玉県立自然の博物館 TEL:0494-66-0404
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

長瀞

ナウマンゾウで知られるナウマン博士が明治11年、東京帝大地質学教室の初代教授となって初めて巡検に訪れた場所が長瀞。1億4000万年前の海底にあった土が結晶片岩に変化し、巨大な岩畳や甌穴(ポットホール)を生みだしました。岩畳を流れる荒川では川

長瀞ラインくだり

和船でのんびりと長瀞を観賞するのが秩父鉄道が運航する長瀞ライン下り(荒川ライン下り)。親鼻橋から岩畳まで下るAコース(3km)と、岩畳から高砂橋の少し先までを下るBコース(3km)、通しで乗るCコース(6km)の3コースが用意されています。

日本地質学発祥の地碑

日本地質学発祥の地碑

埼玉県秩父郡長瀞町長瀞、埼玉県立自然の博物館の東側(敷地内)、南桜通り沿いに立つのが、日本地質学発祥の地碑。平成5年、日本地質学会発足100周年、長瀞町町村合併50周年などを記念して建立されたもの。ナウマンは、明治11年、長瀞で日本列島の根

 

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