埼玉県さいたま市岩槻区に令和2年2月22日に開館した人形の町・岩槻(いわつき)の歴史を紹介するさいたま市立のミュージアムが、岩槻人形博物館。人形や人形文化に関する資料の収集・保存を目的とし、「埼玉の人形作り」、「コレクション展示 日本の人形」を常設展示しています。
西澤笛畝のコレクションを鑑賞
常設展示のうち、「埼玉の人形作り」では人形はどのように作られているのか、伝統的な技法を中心に紹介。
人形の製作道具や材料、さいたま市周辺でつくられる人形を展示し、職人による人形作りの様子を映像で観覧できます。
「コレクション展示 日本の人形」は、日本画家で人形玩具研究家として知られる日本画家・西澤笛畝(にしざわてきほ)の日本人形のコレクションが中心。
玩具としてのみ扱われていた人形を芸術品として評価するきっかけをつくったのが西澤笛畝で、雛人形、京都の公家の間で好まれた胡粉の白い肌が印象的な御所人形(ごしょにんぎょう)、京人形の一種で江戸時代に流行した彩色が美しい嵯峨人形(さがにんぎょう)、木目込で制作された精巧な加茂人形(かもにんぎょう)、江戸時代に流行した小さい木彫りの衣装人形の芥子人形(けしにんぎょう)、歌舞伎役者を模して誕生し、着せ替えを楽しめる市松人形(いちまつにんぎょう)などが展示されています。
企画展も随時実施。
人形の町・岩槻の歴史
日光御成街道で、江戸から最初の宿場町だった岩槻には、日光東照宮の造営に携わった宮大工ら工匠たちのなかに、岩槻に定住した人も多く、箪笥などの家具だけでなく、人形を作り始めた人もいたと推測されています。
もともと桐を産したため桐細工が盛んな土地でしたが、元禄10年(1697年)、京の仏師・恵信が岩槻で病に倒れた際、岩槻藩主・小笠原長重お抱えの範囲が治療に当たり、病気回復後も岩槻にとどまり、桐の粉を糊と練り合わせ桐塑人形(とうそにんぎょう)を考案したと伝えられています。
量産もできることから、江戸時代、雛祭りの江戸での隆盛を背景に、人形の町として発展。
大正時代以降に本格的な産地となり、高度経済成長で、各家庭が雛人形など節句人形を飾るようになり、埼玉県でも最大の「人形の町」になったのです。
岩槻で作られている主な人形としては、桐粉を生麩糊(しょうふのり)で固めたものに胡粉(ごふん=白色顔料)を塗って仕上げた「人形かしら」に着物を着せるもの、そして桐粉を生麩糊で固めた胴体に筋彫りをして、そこに布地をきめこんで作る江戸木目込人形があります。
画像協力/(公社)さいたま観光国際協会
岩槻人形博物館 | |
名称 | 岩槻人形博物館/いわつきにんぎょうはくぶつかん |
所在地 | 埼玉県さいたま市岩槻区本町6-1-1 |
関連HP | 岩槻人形博物館公式ホームページ |
電車・バスで | 東武岩槻駅から徒歩10分 |
ドライブで | 東北自動車道岩槻ICから約3km |
駐車場 | 28台/無料 |
問い合わせ | 岩槻人形博物館 TEL:048-749-0222/FAX:048-749-0225 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
最新情報をお届けします
Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!
Follow @tabi_mag