等持院

等持院

京都府京都市北区等持院北町にある足利尊氏の墓所で、臨済宗天龍寺派の寺、等持院。暦応4年(1341年)、等持寺(とうじじ)別院として、足利尊氏が夢窓疎石(むそうそせき)を招いて創建した、臨済宗天龍寺派の寺院。死後尊氏がここに葬られて以来、足利将軍家の菩提寺として栄えました。

足利将軍家の菩提寺で名園を眺める

応仁の乱で柳馬場の本寺・等持寺が焼失したため、別院である等持院は本寺の等持寺を吸収合併しています。
その後、室町幕府の衰退に伴って次第に衰微しますが、慶長11年(1606年)、豊臣秀頼が片桐且元を奉行として再興。
江戸時代にも寺領326石が安堵されています。
江戸時代までは多くの塔頭(たっちゅう=子院)を抱えていましたが、明治の廃仏毀釈の荒波で廃寺となっています。

方丈(本堂)は、 元和2年(1616年)、福島正則(ふくしままさのり)が妙心寺塔頭・海福院に建立したものを、文政元年(1818年)に移築。
高台寺大方丈障壁画などを描いた狩野興以(かのうこうい)の襖絵が残されています。

禅庭・枯山水の完成者としても知られる夢窓疎石ですが、等持院の夢窓疎石作と伝えられる庭園は東西に分れて、東は衣笠山を借景にした池泉回遊式、西は芙蓉池を中心とする庭園で、茶室清蓮亭が建っています(立命館大学衣笠キャンパスの拡充で衣笠山は眺望できません)。
書院では、芙蓉池を眺めながら、お抹茶、番茶をいただくことも可能。

境内には足利家歴代将軍と徳川家康の木像を安置する霊光殿、足利尊氏の墓といわれる宝筐印塔、室町幕府将軍十五代の供養塔となる十三重塔もあり、室町幕府・足利家との深いつながりがわかります。
家康像は徳川家康自らが42歳の厄払いで、自身の祈祷所だった石清水八幡宮豊蔵坊に奉納したもの。
明治の廃仏毀釈で豊蔵坊が廃寺となり、等持院に遷されています。

また、境内には日本初の劇映画『本能寺合戦』を撮影し、「日本映画の父」といわれる「マキノ省三先生像」も立っています(昭和32年、マキノ省三先生顕彰会が建立)。

等持院は、南禅寺を別格とし、その下に天竜寺・相国寺・建仁寺・東福寺・万寿寺の「京都五山」に次ぐ、十刹(等時寺、臨川寺、真如寺、安国寺、宝幢寺、普門寺、広覚寺、妙光寺、大徳寺、龍翔寺)の第一位(京都における臨済宗の寺格)。

日本映画の父」マキノ省三ゆかりの地

大正10年には等持院境内の塔頭の跡に、「日本映画の父」(日本最初の職業的映画監督)の牧野省三(マキノ省三)が牧野教育映画製作所、等持院撮影所を開設。
大正12年、マキノ映画製作所に改組し、「一スジ(シナリオの重要性)二ヌケ(ヌケの良い優れた映像)三ドウサ(役者の演技や被写体づくり)」をモットーに、大部屋俳優の阪東妻三郎を、それまでの歌舞伎調の旧劇映画にはない、アメリカ映画的なスピード感とともに大スターに育て上げています。

同時にそれを支えた脚本家の寿々喜多呂九平(すすきたろくへい)、映画監督の二川文太郎(ふたがわぶんたろう=大正14年、無声映画史上の傑作と呼ばれる『雄呂血』の監督)、井上金太郎(いのうえきんたろう)をデビューさせているので、まさに等持院は京都の映画文化だけでなく、「日本の近代映画発祥の地」ともいえる場所になっています。

大正13年、マキノ映画製作所は、東亜キネマに吸収されますが、マキノ等持院撮影所は東亜等持院撮影所となり存続。
大正14年、失火により焼失し、牧野省三は御室・天授ヶ丘に新たにマキノ・プロダクションを創立して独立、マキノ御室撮影所を建設しています。

等持院境内には、今も牧野家の墓があり、牧野省三(マキノ省三)、息子のマキノ雅弘など、画一家だった家族の遺骨が納められています。

等持院
名称 等持院/とうじいん
所在地 京都府京都市北区等持院北町63
関連HP 等持院公式ホームページ
電車・バスで JR京都駅から市バスで39分、等持院道下車、徒歩12分で等持院総門。JR京都駅から市バスで40分、立命館大学前下車、徒歩12分で総門。または京福北野線等持院駅から徒歩8分で総門
ドライブで 名神高速道路京都南ICから約9km
駐車場 10台/無料
問い合わせ 等持院 TEL:075-461-5786
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

 

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