埼玉県児玉郡神川町、御嶽山の中腹、武蔵国二宮・金鑚神社(かなさなじんじゃ)近くにあるのが、御嶽の鏡岩(みたけのかがみいわ)。1億年前の関東平野と山地の境界に位置する八王子構造線の誕生時の断層活動のすべり面で、摩擦によって鏡のような表面が名の由来。国の特別天然記念物に指定。
八王子構造線の滑り面が、地質現象を示す標本に
1億年前の地下深部の比較的高い圧力下での断層活動の際、断層両側の岩盤上に高温・高圧の摩擦が加わり、断層に沿う岩盤表面に摩擦跡とともに鏡肌(Slickenside=スリッケンサイド)と呼ばれる平滑な鏡状の面が生じたのが、鏡岩。
つまりは、断層両側の岩石が、活動でズレる際、互いにこすられて磨かれたもの。
高さ4m、幅9m、斜度30度の巨岩で、鏡となった平面は北向き、岩質は赤鉄石英片岩。
岩面の大きさや、断層の方向が判明していることから地質学的に貴重な露頭となっています。
御嶽山には南北朝時代に長井実永が築城し、文明12年(1480年)に安保吉兼が再構築したという御嶽城(みたけじょう)の遺構が残されています。
埼玉県内で国の特別天然記念物に指定されるのは、御嶽の鏡岩のほか、田島ヶ原サクラソウ自生地(さいたま市桜区)、牛島のフジ(春日部市)の3ヶ所のみ。
過去には、野田のサギおよびその繁殖地(さいたま市緑区)がありましたが、都市化で失われ、昭和59年に指定解除になっています(特別天然記念物に指定されたもので指定を取り消されたものはこの1件のみ)。
八王子構造線とは!?
関東は、西部の関東山地・丹沢山系と東部の関東平野に大別できますが、地質的にも西部の古期岩類(古生代=秩父古生層、中生代=小仏層群の堆積岩)と東部の堆積平野(新規堆積物)に分類できます。
関東山地東縁と関東平野西縁を隔てる南北の断層が、八王子構造線で、階段状の断層崖を形成しています。
埼玉県北部(小川町あたり)から神奈川県にかけて、南北に直線的な地形が判別できますが、とくに埼玉県の越生断層、越生-高麗本郷断層は明確な断層として確認されています(八王子から平塚にかけての断層線ははっきりしていません)。
八王子構造線の北端は、中央構造線(下仁田~武蔵嵐山)です。
御嶽の鏡岩 | |
名称 | 御嶽の鏡岩/みたけのかがみいわ |
所在地 | 埼玉県児玉郡神川町二ノ宮751地先 |
関連HP | 神川町公式ホームページ |
電車・バスで | JR本庄駅・JR丹荘駅から朝日バス神泉総合支所ゆきで新宿(しんしゅく)下車、徒歩20分 |
ドライブで | 関越自動車道本庄児玉ICから約10km |
問い合わせ | 神川町生涯学習課 TEL:0274-52-2586 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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