「日本海側最北の前方後円墳古墳」が佐渡で発見! ヤマト王権の拠点!?

日本最北端の前方後円墳は、岩手県奥州市にある角塚古墳。日本海側だけに絞ると、これまでは新潟市西蒲区の角田浜妙光寺山古墳が最北とされてきましたが、佐渡ヶ島で新たに前方後円墳2基が発見されたことで、離島である佐渡とヤマト王権との密接な関係性が証明。古代の日本海大交流を秘めた大発見ということに。

地図データを解析してマウンド(丘)を大発見!

「文化財保存新潟県協議会」(会長・橋本博文新潟大名誉教授)は4月24日(木)、佐渡市の加茂湖西側の秋津地区の丘陵に、古墳時代前期(4世紀)の築造と推測される前方後円墳が2基発見されたと発表、5月11日(日)〜13日(火)に現地調査が行なわれています。
発見された前方後円墳は、いずれも墳丘長30mほどの小規模なものですが、まずは、発見の過程がいかにも現代的。

発見者の新潟市在住・石崎悠人さん(「文化財保存新潟県協議会」会員)は、国土地理院が公表する細かな標高データをもとに、加茂湖周辺の地形を画像処理ソフトで解析。
すると、いかにも手を加えたような地形(加茂湖近くの不思議な地形の盛り上がり)が見つかったというのです。

新潟大学・橋本博文名誉教授らの調査によると、周濠と呼ばれる古墳の周囲に巡らされた濠(ほり)の跡も見つかったとのことで、「形もしっかりした前方後円墳に間違いない」と断定されたのです。
今後、さらに佐渡市などによる調査が進められれば、新たな発見もあるかもしれません。

前方後円墳が見つかった場所は、加茂湖の湖畔で、しかも「両津郷土博物館」のすぐそば。
まさに「灯台下暗し」な感じの大発見で、前方後円墳2基(1号、2号)と、円墳4基(3号〜6号)と合計6基の古墳群であることが判明しています。
前方後円墳の墳丘長は、1号墳30m、2号墳が28mと小規模。
円墳は最大で直径18mほどです。
残念ながら前方後円墳には2基とも中心部に盗掘とみられる穴があることなどもわかっています。

ひとつの遺跡に前方後円墳が2基あるのは新潟県内では珍しいケースで、佐渡にヤマト王権とつながりのある実力者(豪族)が4世紀、2代にわたって繁栄していたことがわかるのです。

新潟県では2024年に南魚沼市・六日町藤塚遺跡で溝で区切られた飛鳥時代の集落跡が出土するなど、新たな発見が続いています。
とくに佐渡・加茂湖畔の前方後円墳は、古代に加茂湖が本州と佐渡を結ぶ水上交通の重要な場所、さらに環日本海交流の拠点のひとつだった可能性、東北地方への勢力拡大を図ったヤマト王権が佐渡を拠点にしていた可能性もあり、今後の調査の進展が楽しみに。

「日本海側最北の前方後円墳古墳」が佐渡で発見! ヤマト王権の拠点!?
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

 

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