「偉大なるローカル線」と称される日本最長の鉄道路線とは!?

かつて日本最長の鉄道路線は、東北本線(東京駅〜青森駅)で739.2kmもありましたが、東北新幹線開業後、盛岡以北が3セク化された結果、現在では山陰本線(京都駅〜幡生駅)が673.8kmで日本最長。本線ながら通して運転される特急はなく、「偉大なるローカル線」とも称されています。

過去にも通しで運転された優等列車(特急・急行)はない!

米子機関区
米子機関区、扇状車庫

支線の長門市駅〜仙崎駅(2.2km)を合わせると676.0kmという路線距離。
東北本線は現在東京駅〜盛岡駅で、535.3kmしかなく、盛岡駅以北はいわて銀河鉄道(盛岡駅〜目時駅/82.0km)、青い森鉄道線(目時駅 – 青森駅/121.9km)と3セクに移管されています。

山陰本線は、明治30年2月15日、京都鉄道の二条駅〜嵯峨駅(現・嵯峨嵐山駅)の開業に始まり、昭和8年2月24日にようやく全通。
分割民営化後は、全線がJR西日本の管轄になっています。

駅数は支線を含めて161駅もあり、京都駅〜園部駅は嵯峨野線と呼ばれ、アーバンネットワーク(大阪近郊区間)に含まれています。
嵯峨野観光鉄道線(トロッコ嵯峨駅〜トロッコ亀岡駅)は、電化複線工事完成前の山陰本線の旧線(非電化単線区間)を再生したもの。

瀬戸内海側を走る山陽本線は、全線が複線電化ですが、山陰本線は単線、非電化区間が混じっています。
トンネルは大小176本(総延長60.3km)あり、単一の路線では紀勢本線(180本)に次いで2位。

起点の京都駅から終点の幡生駅(運用上は下関駅)までを通して走る特急、急行という優等列車の設定は、全通以来一度もないという稀有な路線で、まさに「偉大なるローカル線」といわれるゆえんのひとつ。
大正8年、鉄道院(内閣所管、後の鉄道省、国鉄)は、電化調査区間を設けていますが、山陰本線は除外され、後に豊岡駅〜鳥取駅が電化対象になり、昭和4年度予算に必要経費が計上されていますが、民政党の浜口雄幸内閣が誕生、緊縮財政を進めたため、実現しませんでした。

その後は、山陰と山陽を結び、中国山地を越える陰陽連絡路線、たとえば特急「やくも」(倉敷〜出雲市/伯備線経由)、特急「こうのとり」(新大阪〜城崎温泉、福知山線経由)など電車特急が走ることもあって、山陰本線を使った東西の連絡は希薄になっています。

こうしたことから、人気の寝台特急「サンライズ出雲」(JR西日本とJR東海が共同開発した285系電車)も岡山駅から伯備線を経由し、伯耆大山駅から山陰本線に入っています。

1日で全線を乗り通す乗り継ぎは下り方向の1本しかなく、16時間近い所要時間が必要です。
「青春18きっぷ」で鈍行を乗り継ぐと、1日目には益田駅までしか到達できません。

ちなみに山陰本線を「偉大なるローカル線」と称した始まりは、作家で『時刻表2万キロ』で知られる宮脇俊三。
現在は、路線全体の半分の区間で輸送密度(1kmあたりの1日平均乗客数)が2000人を切り、JR西日本が「大量輸送機関である鉄道としての特性が生かせず、非効率」と言い切る厳しい状況となっています。
将来的には、廃止される区間が生まれる可能性があり、ブツ切れの山陰本線となるかもしれません。

「偉大なるローカル線」と称される日本最長の鉄道路線とは!?
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 意外に知らない、山陰本線はどこから、どこまで!?

関東の人に不正解が多く、関西の人に正解が多いのが山陰本線。関東でその起点、終点を即答できるのは、鉄道ツウといえるでしょう。意外に知らないのが起点駅。しかし終点駅はもっと難関で、下関駅だと思いがちですが、実はそれは運用上の終点で、線としては下

 

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