兵庫県神戸市北区、二級河川・武庫川水系羽束川(はつかがわ)を堰き止める千苅ダム(せんがりだむ)は、ダムマニアから「圧巻の美ダム」と称せられる優雅な雰囲気のダム。明治末に不足する上水道需要を解消するため、明治44年5月起工、大正8年に完成したダムで、粗石モルタル積みのダムながら、なんと表面は石張り。
明治末、神戸の水道不足を解消するために建設

堤高42.4mという本格的なダムで、17門のスライドゲートは日本最古。
ダムの正式名称は千苅堰堤(えんてい)で、ダム自体も国の登録有形文化財、土木学会の土木遺産、そして厚生労働省の「近代水道百選」にも選定。
人造湖・千苅水源池(せんがりすいげんち)の水は、トンネル(千苅導水路)を通って上ヶ原浄水場に送られ、神戸市民(北区の北部を中心としたエリア)の飲み水になっています。
ダムを設計したのは、明治44年に神戸市技師長に就任の佐野藤次郎(さのとうじろう)。
布引ダム(日本初となる重力式石積コンクリートダム、明治33年完成)、烏原ダム(明治38年完成)、そして千苅ダムはいずれも佐野藤次郎の設計です。
つまりは、佐野藤次郎のダム建設の集大成ということに。
「圧巻の美ダム」といわれるのは、その放流風景と、石張りの美しさから。
堤体の端から端まで並ぶクレストゲートから放流されるので、ダイナミックさと優美さを兼ね備えているのです。
ちなみに、ダム湖である千苅水源池の貯水量は、神戸市役所1号館の59杯分と説明されています。

神戸にある「圧巻の美ダム」は、水道の供給源になっている! | |
名称 | 千苅ダム/せんがりだむ |
所在地 | 兵庫県神戸市北区道場町 |
関連HP | 神戸市水道局公式ホームページ |
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