江戸時代には銀山奉行支配の幕府直轄領となり、17世紀初めまでは石見銀の積み出し港として繁栄した島根県大田市の温泉津(ゆのつ)。平成19年7月に世界文化遺産「石見銀山遺跡とその文化的景観」の構成資産。銀山衰退後は北前船の出入りする港として、さらに薬効の高い温泉の湧く温泉町として繁栄したのです。
温泉街としては全国初の重伝建選定
温泉津港へと流れ出す温泉津川の流れる谷沿いに細長く温泉街は形成されていますが、引湯道を隔てて向かい合うレトロな木造3階建ての旅館など、大正から昭和初期の建築物が数多く残され、36.6haが伝統的建造物群保存地区に指定。
港町、温泉街での選定ですが、温泉街としては全国初の重伝建選定となります。
共同湯は「元湯泉薬湯」と「薬師湯」の2軒の湯元が存在。
近接していますが、源泉は異なっています(泉質はともにナトリウム・カルシウム-塩化物温泉)。
リアス式海岸の天然の良港としての機能は、隣接する沖泊と同じで、さらに山陰道(山陰街道)の宿場町としての機能も有して繁栄しました。
今も家並みは江戸時代前期の配置と変わらず、間口の狭い短冊状地割りを引き継いでいます。
石見銀山の外港として銀の積み出しなどに使われ、さらに北前船の繁栄を背景に、大きな敷地をもつ旧廻船問屋の屋敷も残されています。
薬効で名高い温泉が地名の由来となっているように、温泉地としても名高く、銀山支配の代官、著名な戦国大名、文人墨客などが逗留(とうりゅう)しています。
「元湯」の前に建つ木造3階建ての旅館「長命館」(明治2年築の2階建てに大正11年に3階部分を増築/入浴は共同湯を利用)、15段の登り窯を持つ温泉津焼の窯元(温泉津やきものの里)、毛利元就の家臣として温泉津に赴任し、商人に転身して廻船問屋や酒造業などを営んだ内藤家屋敷、温泉街に直交して薬師湯から北側の枝谷沿いに龍澤寺へと向かう龍澤寺谷通りなどは必見の地となっています。
また、温泉津は、男はつらいよシリーズ第13作『男はつらいよ 寅次郎恋やつれ』(昭和49年8月3日公開、マドンナ役は吉永小百合)の舞台となっています。
大田市温泉津伝統的建造物群保存地区 | |
名称 | 大田市温泉津伝統的建造物群保存地区/おおだしゆのつでんとうてきけんぞうぶつぐんほぞんちく |
所在地 | 島根県大田市温泉津町温泉津 |
電車・バスで | JR温泉津駅から徒歩10分 |
ドライブで | 山陰自動車道(仁摩温泉津道路)温泉津ICから約2.8km |
駐車場 | ゆうゆう館前駐車場(10台)を利用 |
問い合わせ | 大田市観光協会 TEL:0854-88-9950 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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