モノレールは、跨座式(こざしき)と、懸垂式(けんすいしき)に分かれ、フランスから導入したサフェージュ式(懸垂式)VSドイツ発祥のアルヴェーグ式(現・日本跨座式)と、国内で懸垂式VS跨座式の仏独戦争が繰り広げられてきました。現在、懸垂式は、湘南モノレールと千葉都市モノレールのわずかに2路線しかありません。
サフェージュ式モノレールを三菱重工業が日本に導入
モノレール(monorail)は、1本(mono)の軌条(rail)で走る交通機関。
実用的なモノレールは、明治34年(1901年)に誕生したヴッパータール空中鉄道(Wuppertaler Schwebebahn)がルーツ。
ドイツ人技師カール・オイゲン・ランゲン (Carl Eugen Langen) が開発した懸垂式モノレールで、「レールの真下に車体を配置する」という設計思想はこれにより定番となったのです。
日本国内では、昭和32年12月17日、上野動物園に開業した東京都交通局上野懸垂線が懸垂式モノレール。
東京都交通局が日本車輌と共同で独自にモノレールの研究を行なって開発した上野式と称される懸垂式ですが、令和元年11月1日に運休、令和5年12月27日付で廃止されています。
現在、国内に走る懸垂式モノレール(湘南モノレール、千葉都市モノレール)はいずれもサフェージュ式。
フランスで昭和32年に生まれたもので、この方式を開発するためフランス国内の25の企業が集まって結成された企業連合の略称がサフェージュ(Société Anonyme Française d’Étude de Gestion et d’Entreprises=フランス経営経済研究株式会社)です。
広島県広島市のスカイレールサービス広島短距離交通瀬野線は、神戸製鋼所と三菱重工業が開発した独自の懸垂式でしたが、残念ながら令和6年4月30日に廃止となっています。
サフェージュ式モノレールを日本に導入したのは三菱重工業のグループで、昭和39年に名古屋市の東山動物園内で試験線を運行したのち、湘南モノレールでその技術を営業運転に結びつけています。
ゴムタイヤを採用したボギー台車をケーソン型(箱型)の軌道桁内に納めているため、走行面が雨や雪から保護されスリップしづらく、騒音も低減され、さらにダンパー(緩衝器)を付けた特殊な懸垂リンク(懸垂腕)で車体を懸垂しているため、カーブでの乗り心地も快適という特長があります。
千葉都市モノレールは、湘南モノレールの技術、経験を反映させて開業したモノレールで、懸垂型モノレールとして営業距離世界最長(15.2km)のギネス認定も受けています。
千葉都市モノレール
運行する場所:千葉県千葉市
路線区間:千葉みなと駅〜県庁前駅(1号線)、千葉駅〜千城台駅を結(2号線)
路線距離:1号線(3.2km)、2号線(12.0km)/懸垂式モノレールとしては世界最長
開業年月日:昭和63年3月28日(2号線・スポーツセンター駅〜千城台駅間開業)
年間の輸送人員:年間1916万人(令和5年度)
お得なきっぷ:土・日曜、祝日・年末年始、ゴールデンウィークに利用できる「ホリデーフリーきっぷ」(1日全線乗り放題)
湘南モノレール
運行する場所:神奈川県鎌倉市、藤沢市
路線区間:大船駅〜湘南江の島駅
路線距離:6.6km
開業年月日:昭和45年3月7日(大船〜西鎌倉間開業)/三菱重工業のモノレール(ゴムタイヤ方式)生産のモデル路線として開業
年間の輸送人員:1000万人以上
お得なきっぷ:周辺の観光施設が割引になる特典の付いた「湘南モノレール1日フリーきっぷ」、新江ノ島水族館の入場券がセットになった「モノレールdeえのすい」
懸垂式モノレールは、国内にたったの2路線しかない | |
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