浜名湖・今切口

浜名湖・今切口

浜名湖は今でこそ海水と淡水が交じる汽水湖(きすいこ=湖水に塩分が含まれる湖)ですが、これは室町時代の明応7年8月25日(1498年9月11日)の明応地震(南海トラフ巨大地震)による津波で、海とつながったから。浜名大橋が架る場所が今切口(いまぎれぐち)で防波堤の新居堤(あらいつつみ)が築かれています。

浜名湖は明応地震で海と通じ、ウナギの産地に!

浜名湖・今切口

明応地震の津波(6m〜8mと推測されています)で、現在国道1号浜名バイパスの浜名大橋が架る場所の砂州が決壊(淡水湖だった浜名湖から流出する浜名川はさらに5kmほど西側にありました)、遠州灘と浜名湖がつながったというわけなのです。
今切という地名もは文字通り、今切れたの意。
地域の歴史書『東栄鑑』(偽書ともいわれますが)には、「諸国大地震、遠州前坂ト坂本ノ間ノ川ニ津波入リ、一里余ノ渡シトナル、是ヲ今切ト号ス」と記されています。
江戸時代中期の『遠江国風土記伝』(内山真龍筆/遠江国13郡の伝承などを収集)にも「湖水変為潮海矣」と記され、この明応地震で、浜名湖は現在のような汽水湖になったことがわかります。
永正7年(1510年)の暴風雨で今切口が広がり、さらに嘉永7年11月4日(1854年12月23日)の安政の大地震でり今切口が200間から700間に広がったことが記録されています(今切が通じた時代には史料によって諸説あり、数回の地震、暴風雨によって今のような地形になったと推測できます)。

地震と津波で、大きな人的物的な被害が生まれましたが、ウナギなど、豊穣な湖もこの汽水湖化によって生まれています(浜名湖が汽水湖になったため、ウナギの稚魚・シラウウナギが集まるように)。
北海道のサロマ湖などは長大な砂州部分を掘削して湖口を造成し、海の水を入れて、漁業資源の確保が行なわれていますが、浜名湖は、地震によって湖口が開いたというわけなのです。

この今切口は交通の要衝ともなり、戦国時代の天正2年(1574年)、武田勝頼軍の遠州侵攻で、高天神城を守る徳川軍を救援するための織田信長軍は、岐阜を出発しますがこの今切口を渡る際に高天神城の落城を知り、岐阜へと戻っているのです(その後、長篠の戦いで武田軍は敗北)。
大軍が渡るのはかなりの時間を費やしたと推測できます。
徳川家康はこのことを熟知していたので、この今切口周辺を天領(幕府領)にし(後に三河吉田藩の管轄に)、慶長5年(1600年)、今切関所(いまぎれせきしょ/通称「新居関所」)を設置、『今切御関所改次第』に従って厳しい検問を実施したのです。

今切口の防波堤(新居堤)は、昭和33年に完成。
今切口の見学は、西岸の新居海釣公園(静岡県湖西市新居町)側から、防波堤(新居堤)を目指すのがおすすめ。
クロダイ狙いの釣り人が多い場所で、先端部分は立ち入り禁止となっています。
防波堤(新居堤)では高波に注意が必要。

浜名湖・今切口
名称 浜名湖・今切口/はまなこ・いまぎれぐち
所在地 静岡県浜松市西区舞阪町舞阪〜湖西市新居町新居
ドライブで 浜松バイパス新居弁天ICから約1kmで新居海釣公園
駐車場 新居海釣公園駐車場(30分まで無料、以降有料)
問い合わせ 浜松市観光インフォメーションセンター TEL:053-452-1634
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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