静岡県静岡市清水区草薙、日本平山頂、日本平ロープウェイ駅に隣接する日本平パークセンター屋上にあるのが、ちゃっきりぶし民謡碑(碑文は「ちやっきりぶし民謡碑」)。静岡民謡と思われている『ちゃっきり節』(『ちやっきり節』)ですが、実は北原白秋作詞、町田嘉章作曲の、新民謡で、昭和2年に制作されたもの。
『ちやっきりぶし』誕生40周年で建立された歌碑
静岡県清水市(現・静岡市清水区)に昭和2年4月1日、静岡電気鉄道(現・静岡鉄道)が開園した狐ヶ崎遊園地(後の狐ヶ崎ヤングランド)のPRソングとして、11月25日に公開されたのが『ちゃっきり節』と『狐音頭』。
狐ヶ崎遊園地はその後、昭和43年に「狐ヶ崎ヤングランド」に改称され、静岡、清水市民に親しまれましたが、平成5年9月5日に老朽化などのために廃止され、跡地はジャスコ清水店(現・イオン清水店)になっています(「狐ヶ崎ヤングランドボウル」が往時を偲ぶ営業項目)。
当初は「私は民謡をつくったことがないから」という理由で作詞を断った北原白秋ですが、当時の静岡電鉄遊園部長・長谷川貞一郎が足繁く東京・谷中の白秋の自宅に通い、ようやくその熱意が通じて、引き受けたのだとか。
遊園地のPRソング作詞の依頼を受け、昭和2年に静岡を訪れた北原白秋は、浮月楼で盛大な歓迎の宴を受け、その後、なんと、当時静岡にあった花街・二丁町遊郭(江戸の吉原は二丁町遊郭から分かれて移転した遊女屋がルーツとも)の蓬萊楼(ほうらいろう)に入り浸ったのです。
静岡独特の人情風俗に触れようとしたのかも知れませんが、その結果、「きゃあるが鳴くんて雨ずらよ」という名フレーズを、蓬萊楼の芸妓が発した言葉から得たのです(注/オリジナルは「きゃあるが鳴くんで」ではなく、「きゃあるが鳴くんて」と濁りません)。
その後、30番まであるという歌詞を書き上げ、北原白秋の知人で民謡の研究家でもある町田嘉章が曲を付け、昭和2年11月25日に地元芸妓衆の歌・踊りによって狐ヶ崎遊園地で発表されたのです。
全国的に知れ渡ったのは、芸妓から歌手に転身した市丸(いちまる)が昭和6年にレコード化し、ヒットしたから。
日本平にある歌碑は、『ちゃっきり節』誕生40周年にあたる昭和41年に立てられたもの。
清水の次郎長などの時代劇で、茶畑とともに『ちゃっきり節』を歌うシーンがあるのは、時代考証的にはおかしいということに(牧之原台地、日本平などの茶畑も明治以降です)。
『ちゃっきり節』1番の歌詞
唄はちやっきりぶし、
男は次郎長、
花はたちばな、
夏はたちばな、
茶のかをり。
ちやっきり ちやっきり
ちやっきりよ、
きゃあるが鳴くんて雨づらよ。
ちゃっきりぶし民謡碑 | |
名称 | ちゃっきりぶし民謡碑/ちゃっきりぶしみんようひ |
所在地 | 静岡県静岡市清水区草薙 |
電車・バスで | JR静岡駅から静鉄バス日本平行きで35分、日本平下車、すぐ |
ドライブで | 東名高速道路清水ICから約13km |
駐車場 | 100台/無料 |
問い合わせ | 静岡市観光交流課 TEL:054-221-1438 |
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