静岡県伊東市富戸、城ヶ崎ピクニカルコース途中、「ぼら納屋」近くの断崖に建つのが、富戸の魚見小屋。ボラ漁の際、ボラの大群を入江に追い込んで捕獲するために、沖の漁船と連携して指示を出すための小屋で、寝泊まり可能な「ノリクチ(乗口)の魚見小屋」を保存した施設です。
ボラの到来を告げ、漁の際の指揮所となった小屋
富戸にあった重要な3軒の魚見小屋のうちの1軒ですが、寝泊まりできる常設の施設は、この「ノリクチ(乗口)の魚見小屋」のみ。
他のはナガサク(長作)、サキヤマ(先山)は仮設のもので、莚(むしろ)旗を上げて魚群発見を知らせ(魚群が少ない際には旗1本、多いときには2本を掲示)、漁になれば合図(まね)を送る場所として機能しました。
富戸の魚見小屋として静岡県の有形文化財に指定されています。
富戸では、魚の事を「イオ」と呼び、「イオ」といえばボラを指すというほど、ボラは重要な魚でした。
江戸時代、幕府も富戸のボラは美味として、富戸から江戸までは押送船(おしょくりぶね)で海路を運ばれていました。
途中の浦賀番所では、必ず荷の確認をするのが決まりでしたが、先を急ぐ富戸の船は、旗を立てて「富戸のボラである」といえば無条件に通行できたと伝えられています。
ボラ漁は、法螺貝(ほらがい)や旗を合図に100人以上の漁師が出漁する勇壮な漁業で、昭和30年頃をピークに衰退し、昭和40年代以降には行なわれていません。
「ノリクチ(乗口)の魚見小屋」からは富戸の海岸線を一望にできるため、常設の小屋が建てられたのです。
近くにある「ぼら納屋」は、ボラ漁の漁業基地だった場所を食事処に再生したもので、往時は、ボラ漁の船を収納、漁具の修理、炊事などを作業場として使われていました。
富戸の魚見小屋は、保存復元工事が行なわれていますが、危険のため近寄ることはできず、遠くから眺めるだけになっています。
富戸の魚見小屋 | |
名称 | 富戸の魚見小屋/ふとのうおみごや |
所在地 | 静岡県伊東市富戸 |
関連HP | 伊東市公式ホームページ |
電車・バスで | 伊豆急行線伊豆高原駅から東海バス海洋公園行きで9分、終点下車、徒歩35分(城ヶ崎ピクニカルコース経由) |
ドライブで | 西湘バイパス石橋ICから約53km |
駐車場 | ぼら納屋 城ヶ崎海岸駐車場(100台/有料)、伊東市門脇駐車場(126台/15分まで無料、以降有料) |
問い合わせ | 伊東市生涯学習課 TEL:0557-32-1961 |
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