2025年5月16日(金)、文化審議会は、アジアで初めての国際博覧会開催となった1970年の『日本万国博覧会』(通称・大阪万博)のシンボル「太陽の塔」(大阪府吹田市)を重要文化財にするよう文部科学相に答申しました。万博会場と間違える人がいるという万博記念公園、『大阪・関西万博』とともに注目度も高まりそうです。
2018年3月から内部も公開中

1970年3月15日(日)~9月13日(日)に大阪府吹田市千里丘陵で開催された『日本万国博覧会』。
テーマは「人類の進歩と調和」で、183日間にわたり約6400万人の来場者を集めましたが、そのシンボルとなったのが現在、万博記念公園に保存される「太陽の塔」。
太陽の塔が位置するお祭り広場の設計は、大阪万博全体の会場基本計画のチーフプランナーであった丹下健三が手掛けています。
高さ70m、基底部直径約20m、腕の長さは片側約25m。
鉄筋コンクリートや鉄骨を組み合わせた構造ですが、岡本太郎氏のデザインを具現化、学者や設計者が当時の最先端技術を結集させて築いたことはあまり知られていません。
塔下部は鉄筋コンクリート造、リング部は鉄骨鉄筋コンクリート造、塔上部と両腕は鉄骨造をベースに、表面にショットクリートを吹き付ける工法が採用されています。
しかも内部には全高約41mの鉄骨構造体「生命の樹」が設置され、生物進化をテーマに、原生生物から人類に至るまで292体(万博当時)の生物模型が取り付けられ、生命の進化の過程を表現していました(内部は耐震工事を経て2018年3月に一般公開を再開)。
未来を象徴する塔頂部の「黄金の顔」、現在を象徴する正面の「太陽の顔」、過去を象徴する背面の「黒い太陽」という三つの顔を持っているのが特徴で、2020年に国の登録有形文化財に指定されています。
今回、文化審議会は「高度経済成長期の日本を象徴するレガシー(遺産)として貴重だ」と評価し、重要文化財に答申。
大阪府は世界遺産の登録を目指しています。
太陽の塔は、重要文化財の指定を受けることで、注目度が高まるだけでなく、国の補助を受けやすくなり、維持管理の安定性が向上するというメリットもあります。
『日本万国博覧会』のシンボル「太陽の塔」が国の重要文化財に! | |
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