北海道幌泉郡えりも町、北海道の南に突き出した襟裳岬から黄金道路と呼ばれる国道を帯広方面に走り、猿留川(さるるがわ)沿いの林道を上流へと走らせたところに豊似湖があります。日高山脈襟裳十勝国立公園唯一の自然湖ですが、空から見るとなんと湖の形がハート形に見えます(地形図でもハート型)。
アイヌの人は神の沼と呼んだ!
東京・羽田から十勝帯広空港や釧路空港、根室中標津空港に向かう飛行機に乗れば、運がよければ(左側の座席を確保し、晴れていて襟裳岬上空を飛べば)、ハート形の湖を視認することができます。
上の画像は、ヘリコプターによる取材班の特撮ですのであしからず。
というのも残念ながら飛行機からはハートが逆向きになるのです。
国道236号のえりも町目黒地区。「目黒生活館」の案内看板ちかくに「豊似湖9.2km」の表示があります。ここが入口。
1kmほどで道はダートとなりますが、レンタカー程度なら安心して走ることができるでしょう(台風の後、増水時などは注意が必要)。
駐車場から湖畔までは、200mほど山道を歩きます。
一帯はシナノキ、ベニイタヤ、カツラ、ヤチダモ、トドマツなどの原生林で、エゾシカ、ヒグマも棲息しています。
湖畔一周30分(1km)の道もありますが、ヒグマの生息エリアなので単独行動は御法度、グループでも音を出すなどして、ヒグマと出会い頭の遭遇を避けるようにしなければなりません。
氷河期の生き残こりといわれるナキウサギの繁殖地でもあるので、北海道は豊似湖鳥獣保護区として自然を保護しています。
アイヌの人々が摩周湖と同様に「カムイトウ(神の沼)」と呼んでいたという神秘的な雰囲気は今も残されています。
国土地理院の地形図に豊似湖の東を通る山道に猿留山道(さるるさんどう)と記されていますが、寛政11年(1799年)、幕府の公金で開削された蝦夷地最初の山道(公道)です。
当時、ロシアが南下政策で蝦夷地周辺にも船が出没していたため、北方警備を強化の前段階で、こうした山道を整備し始めたのです。
伊能忠敬も開通翌年の寛政12年(1800年)にこの道を歩いて測量を行なっています。
取材班が選ぶ「北海道三大秘湖」のひとつ
豊似湖は、「北海道三大秘湖」(オンネトー、東雲湖、オコタンペ湖)には数えられていません。
「北海道三大秘湖」は、バイクツーリングなどが全盛だった時代に選ばれた湖。
それまでは見ることができなかった場所に足を伸ばそうというという気概に満ちていましたが、その時代には、まだまだ豊似湖はあまり知られていない存在でした(オフロードバイクがたまに立ち寄る程度でした)。
北海道には精通するニッポン旅マガジン取材班としては、東雲湖、豊似湖、シュンクシタカラ湖を新(真!)北海道三大秘湖にノミネートしたいと思います。
豊似湖の場合は、林道が湖畔近くまで伸び、駐車場に併設してトイレもありますが、オンネトー、オコタンペ湖のように大型バスの姿をみることはありません。
残念ながら、湖を一周する道はなく、湖畔からはハートであることは実感できませんので、地図と写真でじっくりとお楽しみください。
バレンタインやホワイトデーの時には、雪に埋もれて到達することは困難。
飛行機の窓からというのも、飛行ルートで異なるので、キザなことは諦めるしかありません。
ハート形の湖、豊似湖は「神の沼」! | |
所在地 | 北海道幌泉郡えりも町豊似湖 |
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