北は北海道から、南は九州・鹿児島まで、整備が進む新幹線網。そのなかで、新幹線が通りながら、駅がないという県は、たった1県。それが茨城県です。「茨城県に新幹線が?」と疑問に思う人は、TOPの地図をじっくりとご覧ください。茨城県古河市、猿島郡五霞町(利根川の南側)を走る、東北新幹線です。
小山駅〜大宮駅間で車窓から眺めるだけの茨城県
東北本線(上野東京ライン)の古河駅は明治18年7月16日、日本鉄道(現・JR東北本線)大宮駅〜宇都宮駅間の開通と同時に開業した駅。
つまりは茨城県で最初に開業した駅ということに。
埼玉・茨城県境の利根川の橋は未完成で、利根川には橋の代わりに鉄道連絡船が運航していました。
大宮から来た旅客は利根川の手前の栗橋駅で下車し、渡船を利用して利根川を渡り、対岸に設けられた中田仮駅から列車に再び乗車して、古河駅を経て宇都宮駅へと向かったのです(利根川橋梁は明治19年6月17日開通)。
利根川橋梁の完成で、中田仮駅は廃駅となり、今も東北本線で茨城県内の駅は古河駅のみ。
ひとつ宇都宮寄りの野木駅が群馬県、大宮側の栗橋駅が埼玉県なので、隣接する3駅連続で県が変わるという珍しい場所にもなっているのです。
明治41年、東北本線発の優等列車として誕生した急行201・202列車(上野駅〜青森駅)も上野〜赤羽〜浦和〜大宮〜久喜〜古河〜小山〜宇都宮と停車しました。
東北新幹線は大宮駅(埼玉県)を出ると、次の駅は小山駅(栃木県)ですが、在来線でも古河駅〜小山駅間は12分ほど(営業キロは15.9km)なので、東古河駅という新幹線新駅が誕生する可能性はほとんどありません。
古河市では新幹線の駅を設置しようという運動がありますが、現実性のある在来線の南古河駅設置の方に力を入れています。
東北新幹線の新駅は南古河駅の予定地から東へ1.3kmのところに設置する方針で、もし実現すれば「全国唯一の新幹線素通り県」という汚名の返上ができます。
常磐新幹線の計画もないので、「全国唯一の新幹線素通り県」というのは逆に、観光PRに使えるかもしれません。
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