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発心門王子

発心門王子

熊野古道沿いに続く熊野九十九王子社のひとつで、国の史跡「熊野参詣道」にも指定されているのが和歌山県田辺市本宮町の発心門王子(ほっしんもんおうじ)。五所王子と呼ばれる神々(若一王子・禅師宮・聖宮・児宮・子守宮)を祀る他とは格式を異にする五体王子(藤代王子・切目王子・稲葉根王子・滝尻王子・発心門王子)のひとつです。

ここから先が聖域で熊野古道・中辺路のハイライト

山岳信仰の「四門修行」では、山上の聖地までに発心、修行、等覚(とうかく=仏と等しい悟り)、妙覚(みょうかく=無上の悟り)の4つの門を設けていました。
つまり、各門を通り抜け、山上に出ることによって「深遠で無上な悟り」が開かれるとされていたのです。
発心とはその名の通り、発菩提心、仏道に入り修行を始める志をかためること。
平安時代にはここに大きな鳥居が建ち、ここから先が聖域だったとされています。

熊野詣が盛んな平安時代の天仁2年(1109年)の藤原宗忠(ふじわらのむねただ)の日記『中右記』のうち10月18日~11月10日の熊野参詣記には発心門王子に大きな鳥居があったこと(「先於其前祓、是大鳥居也、参詣之人必入此門之中、遥見遺、心甚恐」)が記されています。
さらに鎌倉時代初めの建仁元年(1201年)の藤原定家(ふじわらのさだいえ=『小倉百人一首』の撰者として有名)の日記『明月記』にある後鳥羽天皇の熊野行幸随行時の参詣記(『熊野御幸記』)にも、聖域の入口に値する神々しい地だったと記されています。

猪鼻王子と水呑王子の間に位置し、発心門王子から熊野本宮大社までの古道が、熊野古道中辺路のクライマックス。
往時にこの地にあった神社は、明治40年に三里神社に合祀され廃絶しています。
現在の社殿は平成2年の再建。

熊野詣の参詣者は、出発の際に先達(せんだつ=案内人)から1本の杖が渡されますが、その杖は発心門王子に献納するしきたりがありました(献納後、音無川に流され死後の安楽を願いました)。
先達はここで新たに金剛杖を配るのが習わしだったとか。

発心門王子
名称 発心門王子/ほっしんもんおうじ
所在地 和歌山県田辺市本宮町三越
関連HP 熊野本宮観光協会公式ホームページ
電車・バスで JR紀伊田辺から龍神バスで40分、発心門王子下車
駐車場 なし/世界遺産熊野本宮館、河川敷駐車場に駐車し、バスを利用
問い合わせ 熊野本宮観光協会 TEL:0735-42-0735/FAX:0735-42-1606
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

 

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