今なお日本に残る「女人禁制の地」 全3ヶ所紹介

女人結界門

女人禁制という言葉をご存知だろうか。明治以前には富士山、立山、白山、御嶽山、大峰山など多くの霊山が女性は結界(女人結界)から先に立ち入ることができないという女人禁制でした。戦後、GHQなども問題視したため、女性の入山も認める山が多くなりましたが、現在も3ヶ所が女人禁制を保っています。

大峰山・山上ヶ岳(大峯山寺)|奈良県

修験道の開祖、役小角(えんのおづぬ)が開山した際からの根本秩序とされるので、1300年以上、女人禁制が守られてきたことに。
明治維新後、明治政府は女人禁制を廃止する布告を出していますが、大峰山の山上ヶ岳は、布告を無視するかたちで、山岳宗教としての伝統を守り、昭和11年に吉野熊野国立公園の制定時には、観光的な側面もあったことから信徒側が解禁を呼びかけましたが修験道三本山がこれを拒否しています。
さらに平成9年には大峰山が2000年となることで、寺院側が信徒側に解禁を呼びかけますが、逆に信徒側が拒否しています。

さらに世界遺産の登録の際にも解禁が議論されましたが、今も頑なに女人禁制となっています。

大峯山寺

大峯山寺

世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」のうち、吉野山から大峯山を経て熊野本宮大社に至る80kmの「大峯奥駈道」(おおみねおくがけみち)の中心的存在が大峯山寺(おおみねさんじ)。山上ヶ岳(1719.2m)の山頂近くに建っています。大峯山寺のある山

石仏山|石川県

石川県鳳珠郡能登町にある古代の祭祀遺跡が、石仏山。
標高100mほどの低山ですが、山全体が社殿のない神社という扱いで、潔界山とも称し、今も女人禁制です(14歳以上の女子は入山禁止)。
もともとは古代の巨石信仰(石神信仰)がルーツで、中世の修験道の霊場信仰を経て、山麓の神社の祭礼となってからも祭祀組織がつくられ、頑なに女人禁制が維持されています。
毎年3月2日の『石仏山祭』では、打ち鳴らす太鼓を合図に石仏山へ入山、中腹にある前立(まえだち)という高さ巨石で祭祀が行なわれています。

舟木石神座|兵庫県

淡路島にある石上神社(いわがみじんじゃ)の磐座(いわくら)が、舟木石神座。
春分と秋分の日に太陽が通るライン、「太陽の道」上の聖地として知られ、今も女人禁制。
少し離れた稲荷社から舟木石神座を遥拝するのが慣わしになっています。

古代の巨石信仰が今も女人禁制なのは、石川県能登町の石仏山と同じです。

【番外編】 沖ノ島|福岡県

玄界灘に浮かぶ沖ノ島は、島全体が宗像大社の私有地。
宗像大社の神領(御神体島)で、沖津宮(おきつぐう)が鎮座し、平成29年には、「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群の構成資産の一つとして、ユネスコにより世界文化遺産に登録されています。
まさに「神の島」で、世界遺産のシンボル的な存在。
今も頑なに女人禁制を守っていますが、男性であっても、神官や研究者を除く一般人は毎年5月27日の現地大祭以外は上陸が禁じられ、毎年上陸が許可されるのは200人程度にすぎませんでした。
世界遺産登録時には、ユネスコから一般人の上陸を制限する要請があったため、現在では女人禁制ではなく、「一般人禁制」まで強化されています。

【番外編】 石鎚山|愛媛県

西日本の最高峰の石鎚山は、石鈇蔵王権現(石鎚神社)が祀られる宗教登山の山。
女人禁制ではありませんが、お山開きの7月1日のみ女人禁制という習わし。
古くから『お山開き大祭』の期間中(7月1日〜10日)は女人禁制とされてきましたが、今では初日のみとなっています。
7月1日に限り、女性は成就社、土小屋遥拝殿までで登頂することはできません。

石鎚山・お山開き大祭(石鎚神社夏季大祭)

石鎚山・お山開き大祭(石鎚神社夏季大祭)

愛媛県西条市の石鎚神社 で、毎年7月1日〜7月10日に斎行されるのが、石鎚山・お山開き大祭(石鎚神社夏季大祭)。古くから「お山開き」と呼ばれる石鎚山の開山祭で、参加者は「お山詣り」、「石鎚導者(どうじゃ)」と称され、全国各地より数

石鎚山

石鎚山

愛媛県西条市・久万高原町、標高1982m(天狗岳)と四国はもちろん、西日本の最高峰が、石鎚山(いしづちさん)。飛鳥時代の天武天皇14年(685年)、修験道の開祖・役小角(えんのおづぬ)が修行の末、開山したと伝わり、富士山などとともに日本七霊

今なお日本に残る「女人禁制の地」 全3ヶ所紹介
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