鳥取県は、弥生時代に朝鮮半島などの大陸を含め、全国有数の交易拠点として栄えた青谷上寺地遺跡(あおやかみじちいせき/鳥取市)の調査研究を進めていますが、その一環で、出土した人骨の骨格やDNA分析の成果を基に、「弥生人」の顔の復元を実施。今回は、初となる女性の顔の復元に挑みました。
DNA分析で得られた情報を使ってリアルに復顔


青谷上寺地遺跡は、「地下の弥生博物館」とも呼ばれ、これまで、鉄製品や青銅といった金属製品が良好な状態で出土したほか、弥生人の脳、人骨、木製品、骨角器、繊維、動植物の遺存体など、有機質遺物も多数見つかっています。
温暖な縄文海進時には海(湾)だった土壌中の水分の多い沖積平野で、出土した遺物は水分を大量に含んだ弱酸性の土の中で、空気に触れて腐敗することなく眠っていたのです。
出土品のうち1353点が国の重要文化財に指定されていますが、これまでに5300点、墓に埋葬されることなく溝に散乱しながら、部分的ではあるにしろ女性や子どもを含む100体以上の人骨が見つかっています。
弥生時代後期(1800年ほど前)の弥生人の人骨で、これまでに2021年10月に最初の男性「青谷上寺朗」(あおやかみじろう)を復顔。
復顔は、頭蓋骨をもとに生前の顔を復元する技術で、解剖学研究で得られたデータを応用し、骨の形状だけでなく、筋肉の形態や皮下脂肪の厚みなども推定して顔を再現します。
続いて、DNA判定で青谷に移り住んだ渡来人の子孫ということが判明したかなり二枚目の青年「青谷来渡」(あおやらいと)を復顔して話題を呼びました。
今回は3体目ですが、初の女性。
2000年度に青谷上寺地遺跡で発掘された骨をもとに、壮年(復元した年齢は30歳前後)女性を復顔しています。
近年では、DNA分析で得られた顔表面に関わる情報(まぶたの形状・皮膚や髪の色など)を盛り込むことで、よりリアルな復顔像が制作できるようになっていますが、今回も核DNA解析で分かった特徴から、髪は太く直毛、二重まぶたで、眉毛は濃い目、肌は明るく、そばかす・ほくろはできにくい体質、そして虹彩は明るめの暗色系という微細な特徴まで盛り込み、かなり1800年前の姿に近づいているのです。
2025年3月20日(木・祝)にお披露目され、現在は、青谷かみじち史跡公園展示ガイダンス施設に展示されています。


日本初! DNA分析を使って「弥生人・女性」の顔を超リアルに復顔 | |
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