山梨県南都留郡山中湖村にある富士五湖で最大の湖が山中湖(やまなかこ)。湖面標高は980.5mもあり、富士五湖では最高所、国内の湖(天然湖で面積1平方キロより大きなもの)では中禅寺湖、榛名湖に次いで国内第3位の高所に位置しています。新宿から中央高速バスが直通し、夏も涼しく、避暑にも絶好です。
延暦大噴火で誕生した堰止め湖
湖の形が牛が伏せているように見えることから臥牛湖(がぎゆうこ)とも呼ばれた山中湖。
平安時代初期、の延暦19年(800年)〜延暦21年(802年)に起こった富士山の延暦大噴火(えんりゃくだいふんか)で流出した鷹丸尾(檜丸尾第二)溶岩流が桂川を堰き止めて誕生した湖(堰止め湖)です。
この延暦大噴火では、古代の東海道だった足柄路(足柄峠越えの道)が通行不能となっています。
青木ヶ原を生み出した貞観大噴火よりも60年ほど前のことで、平安時代初期には、富士五湖が生まれるという富士山の活発な火山活動があったのです。
もともとの地形が深い谷ではなかったため、水深は富士五湖のなかで最も浅い 13.3mしかありません。
世界文化遺産「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産になっています。
「ダブルダイヤモンド富士」が人気
観光の拠点は、高速バスの旭日丘バスターミナルのある旭日丘地区。
山中湖遊覧船「白鳥の湖」は、旭日丘桟橋と、西岸・山中地区の山中桟橋から出航。
湖岸の旭日丘、長池、平野、大池浜など、そして少し離れたパノラマ台や「山中湖花の都公園」では、秋(10月〜11月)、冬(1月〜2月)の日没時にダイヤモンド富士を眺望。
湖岸線が長いため、かなり長期に渡ってダイヤモンド富士を眺められるので、カメラマンにも人気の湖になっています。
運が良ければ(風がない日には)、富士山が湖にくっきりと映る「ダブルダイヤモンド富士」を見ることもできます(湖岸に並ぶカメラマンのお目当てはこの「ダブルダイヤモンド富士」)。
とくに北岸の山中湖親水公園(長池親水公園)は人気のスポットになっています。
歴史的には駿河と甲州を結ぶ甲斐路(かいじ)の途中で、駿河国・横走駅(御殿場あたりにあったとされる宿駅)で東海道から分かれ、籠坂峠を越え、山中湖、河口湖(河口駅=北岸の河口集落)、御坂峠を越えて、甲府へとつながっていました。
鎌倉時代には、「いざ、鎌倉」と甲信の武士が馳せ参じた鎌倉街道で、山中地区の山中浅間神社近くには旧鎌倉往還が残されています。
昭和31年4月18日、村立山中小学校の6年生児童が直径2cmほどの緑色の球状の藻を発見。
マリモの変種であることが確認され、「フジマリモ」(富士毬藻)と命名されています。
類似のマリモは富士五湖すべてで確認されていますが、その発端となったのが、山中湖の「フジマリモ」です。
富士五湖のリゾート開発は山中湖から
野球、サッカー、ハンドボール、テニスの合宿などで知られるのは平野地区。
実は、富士五湖でのリゾート開発は、河口湖よりも山中湖のほうが古く、富士山麓土地株式会社(富士急行の前身)が大正15年に設立され、別荘地開発が行なわれたことが始まり。
昭和3年、別荘地造成工事が着手されると同時に、「山中湖ホテル」が開業しています(「山中湖ホテル」は戦後、富士屋ホテルに委託し営業していましたが、平成9年に廃業)。
昭和4年には早くも湖畔に貸別荘が誕生。
昭和8年、徳富蘇峰が「旭日丘」命名、昭和10年、富士ゴルフコース開業、そして昭和11年に富士箱根国立公園指定と、保養地としての歩み続けます。
「自然との共生」という現代にも生きるポリシーで、木の少ない場所には植樹してリゾート開発を進めたことが、現在の美しいリゾートとなって結実しています(別荘地の景観は、昭和初期とさほど変化がありません)。
名称 | 山中湖/やまなかこ |
所在地 | 山梨県南都留郡山中湖村山中 |
関連HP | 山中湖村公式ホームページ |
電車・バスで | 富士急行線富士吉田駅から富士急行バス旭ヶ丘方面行きで25分、旭ヶ丘下車 |
ドライブで | 東富士五湖道路山中湖ICから約2km |
駐車場 | 県営駐車場(300台/無料) |
問い合わせ | 山中湖村観光産業課 TEL:0555-62-9977/FAX:0555-62-3088 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
最新情報をお届けします
Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!
Follow @tabi_mag