箱根は、芦ノ湖がカルデラ湖で、その絶景は箱根カルデラ(箱根火山=活火山)がもたらしたもので有名ですが、実はそのお隣、湯河原温泉も湯河原カルデラのカルデラ底に湧く温泉。箱根との違いは、火山の古さと、長い年月をかけて侵食されて形成され侵食カルデラということ。
湯河原カルデラ+箱根カルデラの外輪山という複雑な地形
箱根火山は、富士山のような巨大な火山体が火山活動でマグマなどを噴出し、内部が空洞化して火山体が崩落してできた陥没型の凹地。
凹地に水が溜まったのが芦ノ湖です。
対する湯河原カルデラは、はるか昔にあった湯河原火山の火口が気が遠くなるような長い年月を費やして侵食によって巨大な谷が生まれたもの。
侵食カルデラは国内でも珍しく、箱根や立山がその侵食カルデラの代表格です。
湯河原には15万年前に誕生した溶岩ドームの幕山というシンボル的なピークがありますが、この幕山は、湯河原火山の後に火山活動を繰り広げた箱根火山の外輪山としての火山活動で誕生したもの。
複雑な地形は、湯河原カルデラの侵食地形に箱根火山の外輪山が加わってのもので、幕山の山麓に展開する湯河原梅林(毎年2月が梅の見頃)の絶景はこうした火山の歴史が背景にあるのです。
湯河原が火山であったことの証として、湯河原温泉は火山性温泉の典型とされるナトリウム−塩化物泉が混ざってできたと考えられるナトリウム・カルシウム−塩化物・硫酸塩泉などが湧出しているのです。湯河原温泉は大きく分けて塩化物泉、単純温泉、硫酸塩泉という3種の温泉が湧出していますが、その半数が含石膏-ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉です。
よく温まる食塩泉に「傷の湯」と称えられる石膏泉が加わった妙(たえ)なる効能が期待できるのです。
昭和9年に丹那トンネル開通によって、東海道線が御殿場回りから国府津〜熱海〜沼津へと変更され(湯河原駅は熱海線の駅として大正13年10月1日開業)、旅館が急増。
昭和初期には温泉の乱掘で枯渇の危機に直面したため、現在では温泉は厳しく保護されており、湯河原町による集中管理も行なわれています。
意外に知らない! 湯河原温泉は「湯河原カルデラ」の底にある | |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
最新情報をお届けします
Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!
Follow @tabi_mag