【全国雑煮図鑑】成長と出世を願う 岡山県「ブリ雑煮」

岡山・ブリ雑煮

出世魚として知られるブリを使うのが岡山県。旧国でいえば吉備国(きびのくに)で、備前(びぜん)、備中(びっちゅう)、美作(みまさか)の3国に分かれ、それぞれの食文化には微妙な違いがあります。備前、備中の瀬戸内海沿岸地方では、寒ブリを雑煮に入れるのが定番となっています。

丸餅に寒ブリ、根菜というのが定番の具材

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ブリはヤズイナダ、ハマチ、ブリと成長するたびに名前が変わっていく出世魚。
縁起がいいということもあって、福岡県、長崎県などの沿岸部、長野県松本市(塩蔵のブリを使用)などでも正月には「ブリ雑煮」を味わいます。

出世魚のため、おめでたい日(ハレの日)の食材ということから、雑煮に用いられるようになったのだと推測できます。
具材は、ブリのほかにほうれん草、そして大根、ごぼう、人参、百合根などの根菜類。

岡山県内では沿岸部ではを鰹節と昆布で出汁(だし)を取りますが、北部では「スルメ出汁」というのが特徴です。
スルメで出汁を取る文化は、石川県の「加賀雑煮」、そして九州にもありますが、岡山県でも山間部は「スルメ出汁」です。
前の晩に刻んだスルメを水に浸し、翌朝、その水を火にかけるというシンプルなもので、旨味に加えて塩味もあるため、十分に美味しい出汁が取れます(昆布などを加える場合も)。

ちなみに、瀬戸内海の天然ブリは、11月〜2月が旬で、まさに脂ののった寒ブリ。
現在では養殖も盛んです。
また真庭市などでは江戸時代から続く伝統の「北房ぶり市」(現在は2月に行なわれていますが、旧暦では12月25日に開催)が有名で、北前船で運ばれたブリなどが売られるという歴史を有しています。
こちらは、山間にあっても正月だけはブリを食しようという伝統的な市です。

岡山・ブリ雑煮
出世魚のブリ
【全国雑煮図鑑】成長と出世を願う 岡山県「ブリ雑煮」
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