旧伊勢神トンネル

長野県と三河を結ぶ塩の道・中馬街道。その難所が稲武と足助の間に立ちはだかる伊勢神峠越えです。現在の国道153号は昭和35年に開通した新伊勢神トンネルを抜けますが、その足助側の入口にある「ドライブイン伊勢神」脇の旧道に入ると、明治30年完成の旧伊勢神トンネル(伊世賀美隧道)を抜けて、稲武側で国道に合流することが可能。

明治30年に完成した馬車道サイズの隧道

旧伊勢神トンネルの正式名は、伊世賀美隧道(いせがみずいどう)。
名古屋を起点に挙母(ころも=現・豊田市)を経て、飯田までを結ぶ飯田街道(中馬街道)の峠越えのトンネル。

全長308m、高さ3.3m、幅員3.15mと旧伊勢神トンネルの洞の大きさはかつて峠を行き交った馬車のサイズのまま。
設計段階ではレンガ造りの予定でしたが、地質と湧水の問題で総花崗石造に変更されています。

伊勢神峠は幕末の1864(文久4)年、峠の頂に伊勢神宮の遙拝所が築かれ、伊勢湾が一望できる聖地(伊勢拝峠)という意味の名前なのですが(それ以前は、石神峠)、狭く不気味なトンネルは、皮肉にも「神霊スポット」として名を馳せています。
馬の背で荷物を運んだ時代の峠は標高780m、馬車道となったトンネル部分は標高705m、昭和35年に開通した現在の国道153号・伊勢神トンネルは標高640mのなので、峠越えの歴史がわかる近代化遺産のひとつ。
トンネル自体も国の登録有形文化財に指定されています。

名古屋の名テレがこのトンネルを題材にして作ったテレビドラマ『anotehr episode あのトンネル』は、2004年のカンヌ映画祭の監督招待作品となりました。
伊勢神峠遥拝所を越えた馬の背に荷を積んだ時代、馬車で伊世賀美隧道を抜けた時代、そして新伊勢神トンネルを使うトラック輸送と時代の変遷を感じ取ることができるでしょう。

新旧の伊勢神トンネルで峠を越え、東へと下り段戸川にぶつかるところには、大正6年築の郡界橋が現役を退いて残されています(県道484号沿い)。
実はこの郡界橋も東海地方最古のRCアーチ橋という貴重な歴史遺産になっています。
旧東加茂郡足助町小田木と旧北設楽郡稲武町達谷ということで、かつての郡界にあたるので(現在はともに豊田市内)郡界橋の名があります。

旧伊勢神トンネル
名称 旧伊勢神トンネル/きゅういせがみとんねる
Old Isegami Tunnel
所在地 愛知県豊田市明川町岩立・連谷町石神
ドライブで 猿投グリーンロード力石ICより約25km
駐車場 なし
問い合わせ 豊田市商業観光課 TEL:0565-34-6642/FAX:0565-35-4317
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

 

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