愛知県西尾市にある「西尾の抹茶」のルーツとなる寺。西条領主・吉良氏の菩提寺として3代・吉良満氏(きらみつうじ)が文永8年(1271年)に建立した寺。東福寺の聖一国師(円爾=えんに)を迎え開山式を行ない、宋(中国)・経山寺の絵図に倣って壮大な伽藍が築かれています。室町時代には、足利尊氏が三河安国寺とした名刹です。
織田、松平、今川という戦国時代の動乱を抜けた臨済宗の名刹
天文15年(1546年)、臨済宗の僧で今川義元の軍師・太原雪斎(たいげんせっさい=太原崇孚/たいげんそうふ)が大軍を率いて西三河に侵入すると、臨済宗妙心寺派に改めています。
その背景には、織田信長の父・織田信秀の西三河に侵入で、徳川家康の父・松平広忠が今川氏に救援を求めたことにあります。
当時の三河は織田信長の父の侵入、徳川家康の父が守るという織田・松平の対立関係にあったのです。
竹千代(家康の幼名)が今川家の人質として駿府に送られるのは、天文16年(1547年)8月2日のこと。
その後、永禄3年(1560年)、今川義元が討たれる桶狭間の合戦の直前に、織田信長の兵火によって多くの堂宇を焼失しています。
境内中央にある釈迦堂は、室町時代後期、天正4年(1576年)の建築で愛知県の文化財に指定されています。
堂内には貞治元年(1362年)造立の釈迦三尊像が祀られ、例年4月第2日曜日の『お釈迦さん』(花祭り)で公開されています。
方丈や庫裏(くり)は、江戸時代の禅宗建築の様式をよく残す建物として国の登録文化財に指定。
中国鐘の影響を受けた八葉宝鐸型梵鐘(愛知県の文化財)など多くの寺宝を保有しています。
江戸時代に吉良義定(徳川家康の従兄弟)が華蔵寺を菩提寺とするまで、実相寺は、西条吉良氏の菩提寺でした。
全国3割を占めるという西尾の抹茶は、寺を開いた聖一国師が宋から持ち帰った茶の実を植えさせ、茶の栽培も広めたことに由来すると伝わります。
聖一国師は、静岡茶(本山茶)の始祖ともいわれていますが、西尾では大正時代後期から抹茶生産に特化し、日本一の抹茶生産地となっています。
実相寺 | |
名称 | 実相寺/じっそうじ Jissoji Temple |
所在地 | 愛知県西尾市上町下屋敷15 |
関連HP | 西尾市観光協会公式ホームページ |
電車・バスで | 名鉄西尾駅から徒歩30分 |
ドライブで | 国道23号(岡崎バイパス)中原ICから約5km |
駐車場 | あり |
問い合わせ | 実相寺 TEL:0563-57-4364 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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