中世に山の頂に築かれた山城のうち、岩村城(岐阜県恵那市)、高取城(奈良県高取町)、備中松山城(岡山県高梁市)の3城が「日本三大山城」。対して海を掘りに取り入れ、物資の輸送に舟運を利用した水城のうち、高松城(香川県高松市)、今治城(愛媛県今治市)、中津城(大分県中津市)の3城が「日本三大水城」です。
日本三大山城
山城は、「天空の城」といわれる備中松山城のように、雲海の上に城郭というような幻想的なロケーションもあり、城ファンだけでなく、写真家にも人気なのが「日本三大山城」。
ただし、山上にあり、中世に築かれたものが多いので(山上では不便なため近世城郭は平地に築かれています)、天守がない(あるいは現存していない)、建物も残されていない(明治維新で荒廃)などというマイナス面もあります。
「天空の城」といわれ、往時の天守が現存する備中松山城は、「日本三大山城」の筆頭でしょう。
岩村城(岐阜県恵那市)
本丸が諸藩の居城中最も高い標高721mに位置。
美濃へ進出する武田信玄と、それに対抗する織田信長とが攻防戦を展開。
★日本100名城
高取城(奈良県高取町)
高取山(583.6m)の山頂に築かれた、日本屈指の規模を誇る山城。
山上からは大和盆地を一望に。
★日本100名城
備中松山城(岡山県高梁市)
臥牛山(487m)の山上に建つ山城で「天空の城」として有名。
大石良雄(大石内蔵助)が城番となったことも。
★日本100名城
★現存12天守
日本三大水城
逆に海城は、復元されたものも含んで天守など建築物が多いので写真映えするのが利点。
マイナス面は、埋め立てや市街化が進み、城を取り囲んだ海や堀の多くが失われている点です。
「讃州さぬきは高松さまの城が見えます波の上」といわれる高松城は「日本三大水城」筆頭といえるでしょう。
高松城(香川県高松市)
北側は瀬戸内海に面し、残り3方向は内堀、中堀、外堀の3重の堀が巡らされて、難攻不落を誇った水城。
堀には現在も瀬戸内海の海水が引きこまれ、養殖の鯛が放流されています。
★日本100名城
今治城(愛媛県今治市)
築城の名手・藤堂高虎が築いた水城。
三重の濠に海水を引き入れた海岸平城で、濠には御船蔵も設置されていました。
★日本100名城
中津城(大分県中津市)
築城の名手・黒田官兵衛が築いた水城。
現在は観光用の天守が建てられています。
☆続日本100名城
附録 日本三大湖城
日本三大水城とは別に、「日本三大湖城」という、湖に浮かぶように造られた城があります。
「諏訪の浮城」といわれた高島城(長野県上諏訪市)、琵琶湖に浮かんだ膳所城(ぜぜじょう/滋賀県大津市)、宍道湖(しんじこ)に浮かぶ松江城(島根県松江市)が「日本三大湖城」です。
高島城(長野県上諏訪市)
現存するのは本丸堀と石垣のみで、周囲も干拓されて往時の雰囲気を失っています。
☆続日本100名城
膳所城(滋賀県大津市)
徳川家康が天下普請で築城した第1号の城で、大津城、坂本城、瀬田城と並ぶ「琵琶湖の浮城」。
縄張りは築城の名手・藤堂高虎。
水面に映える姿は里謡に「瀬田の唐橋からねぎぼし、水に浮かぶは膳所の城」と謡われました。
日本100名城、続日本100名城からも漏れた、無冠の名城。
松江城(島根県松江市)
宍道湖と中海を結ぶ太田川の近く、亀田山に築かれた城。
城の周りを囲む堀川は宍道湖とつながる汽水域。
★日本100名城
★国宝5天守
★現存12天守
日本三大山城 VS 日本三大水城 | |
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