千葉県勝浦市の明神岬一帯、延長約2kmの海岸線付近が、鵜原理想郷と呼ばれるエリア。大正末期に別荘地として開発する計画のあった土地で、かつては文人や画家など、数多くの文化人が訪れた岬です。海岸線は典型的なリアス式海岸で、連なる入り江を老松が覆い、まるで南画のような世界。
大正時代に文人に愛された隠れ里
利用者専用の無料駐車場を起終点とした、全長2300mの「鵜原理想郷ハイキングコース」も設けられ、奇岩や海食崖、さらに勝浦海中展望塔まで足をのばすことができます。
JR外房線鵜原駅からも鵜原第1トンネル、鵜原第2トンネル抜け徒歩10分ほどで入口と、鉄道利用でも便利です。
与謝野晶子は、昭和11年4月~5月に友人らと、鵜原理想郷に滞在し、「鵜原崎緑の百合をわれ定む海より来たる雨の染めぬと」、「春の風岩穴ならび洞門のつづく岬をことやうに吹く」、「我も愛づ幾岩山に鵜原人穴を設けてたのしむ岬」、「松の花鞭を当てなば金色の雲たちまちに被はん岬」など、76首の歌を詠んでいます。
三島由紀夫も短編小説『岬にての物語』で、鵜原理想郷の景観を絶賛。
「類ひない岬の風光優雅な海岸線、窄いがいひしれぬ余韻をもった湾口の眺め、たたなはる岬のかずかず、殆んど非の打ち処のない風景を持ちながら、その頃までに喧伝されて来た多くの海岸の名声に比べると、不当なほど不遇にみえる鷺浦は、少数の画家や静寧の美を愛する一部の人の間にのみ知られていて」(三島由紀夫『岬にての物語』)
鵜原理想郷内部は一般車両の通行が禁じられているため入口の外来者用駐車場に車を入れ、2.3kmの鵜原理想郷ハイキングコースを歩くことになります。
途中には手弱女平(たおやめだいら)、コース中最南端でヤブツバキの群生林がある毛戸岬(けどみさき)、白鳳岬(はくほうみさき)、黄昏の丘(たそがれのおか)、「日本の渚百選」選定の鵜原海岸(鵜原・守谷海岸として選定)などの景勝地があるので飽きることがありません。
起点から650mの地点(徒歩20分ほど)にある手弱女平は、東に向かって突き出た岩山で勝浦海中公園、八幡岬を一望に。
手掘りのトンネルも多いことに注目を。
大正14年創業、洞窟風呂、トンネル風呂で知られる旅館「磯香の湯宿 鵜原館」もあり、館内には鵜原理想郷の歴史を紹介するギャラリーもあるので、探勝の際には基地とするのに絶好。
鵜原理想郷 | |
名称 | 鵜原理想郷/うばらりそうきょう |
所在地 | 千葉県勝浦市鵜原 |
関連HP | 勝浦市公式ホームページ |
電車・バスで | JR鵜原駅から徒歩7分 |
ドライブで | 圏央道木更津東ICから約47.2km。または、館山自動車道君津ICから約55.4km。館山自動車道姉崎袖ケ浦ICから約55.5km |
駐車場 | 6台/無料 |
問い合わせ | 勝浦市観光商工課 TEL:0470-73-6641/FAX:0470-73-8788 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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