梅乃家

梅乃家

千葉県富津市竹岡、竹岡漁港近くの国道127号沿いに建つラーメン屋が梅乃家。今や全国的にその名が知られ、千葉県内ではカップ麺も売られる竹岡式ラーメンの元祖。創業は昭和29年、竹岡漁港に戻った漁師たちが冷え切った体を温めるのに味わったのが中華そば(ラーメン)と、今もメニューに残る「梅割り」です。

スープは、地醤油で煮たチャーシューの煮汁!

今や勝浦タンタンメン(勝浦市、「江ざわ」発祥)、アリランラーメン(長生郡長柄町、「八平の食堂」発祥)と並び千葉県の三大ラーメンに数えられる「竹岡式ラーメン」発祥の店。
「竹岡式ラーメン」のポイントは、チャーシューの煮汁をラーメンスープに使っていること、そして、麺が乾麺だということ。
トッピングはチャーシュー、海苔、メンマで、これに別注の刻んだ玉ねぎをのせるのがセオリー。

味の決め手となる醤油は、天保5年(1834年)創業で、木桶で醸造するという地元・佐貫(富津市)の宮醤油。
チャーシューは、この宮醤油(千葉県産の小麦で天然醸造の「こいくちしょうゆ」)を使い、豚バラの塊をトロトロになるまで煮込んでいます。

太目のちぢれ麺は千葉市「都一」(みやこいち)の中華乾麵(ノンフライ麺です)を使っていますが、これも手抜きというわけではなく、七輪を使って炭(雑木炭)で麺を茹でるという凝りよう。
「都一」では、生麺を縮れさせものをブロック状に固め、熱風で乾燥させるという中華そばの屈曲麺製法(原料は小麦粉・かんすい・食塩のみ、油で揚げない、「心まであったかい」麺が売り)を、昭和28年、日本で最初に編み出し、世に出した製麺会社。
昭和29年の創業時、竹岡漁港で手軽に入手できる麺は、この「都一」の中華乾麵だったというわけなのです。

「必ず炭で湯を沸かせというのが、先代のおばあちゃんの教え」とのことで、今も麺だけは火力のある炭で沸かしています。
寒天の名店でも、天草を大釜を使い、炭火で煮あげるので、この炭火というのも味に秘められた鍵なのかもしれません。
コシのある食感と、のど越しの滑らかさは、この「都一」(シンプルな原材料と昔気質の製法)のヘルシーな乾麺を炭火で茹であげることにあるのです。

スープは、とくに出汁(だし)をとるわけではなく、チャーシューの煮込み汁(昔ながらの木桶醸造の醤油に豚の旨味が滲み出したもの)に、乾麺の茹で汁(炭火沸騰)を注ぐというシンプルなもの。

つまり、「竹岡式ラーメン」は、漁師町に根付いたシンプルで力強いラーメンが、テレビ(日本テレビ系列『秘密のケンミンSHOW』でも取り上げられました)やSNSで話題になり、注目されたということに。
東京湾フェリー、富津市観光協会などなど地元の観光関係者の話をまとめると、「昔から美味しかった」、「今は行列ができて、食べるのも大変」、「禁断症状が出るほど病みつきになる」ということに。

日本料理の板長を取材すると、「最近のラーメンは、出汁(だし)もバランスを考えずにとるので、雑味が多く、ごちゃごちゃな感じ」と嘆く人も多いのですが、「竹岡式ラーメン」のシンプルで素朴な麺にシンプルで力強いスープ、それでいて料理の基本を守っている点が、人気の秘密なのかもしれません。

メニューは、ラーメン、大ラーメン、チャーシューメン、大チャーシューメンの4種。
トッピングに玉ねぎも用意されています。
ライスなどはなく、このほかはビールと日本酒、そして伝統の「梅割り」のみ。

量は普通盛りでも麺もチャーシューもボリューム満点ですが、雑誌などで紹介されるのは、玉ねぎをトッピングしたもの(トッピングしなくても玉ねぎはのっています)。

昼時は避けるのが懸命ですが、混雑によっては毎日手作りするチャーシューの量が減ると、チャーシューメンがオーダーストップになり、チャーシューが無くなり次第、早仕舞いすることもあるので注意が必要。

取材協力/東京湾フェリー、富津市観光協会

梅乃家
名称 梅乃家/うめのや
所在地 千葉県富津市竹岡410
電車・バスで JR上総湊駅からタクシーで6分
ドライブで 富津館山道路富津竹岡ICから約2km
駐車場 あり/無料
問い合わせ 梅乃家 TEL:0439-67-0920
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

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