千葉県佐倉市、堀田藩11万石の城下町・佐倉の中心部に建つのが佐倉市立美術館。レトロ建築のエントランス部分は、大正7年築、レンガ造りの旧川崎銀行佐倉支店(千葉県の有形文化財)。佐倉・房総ゆかりの作家作品を収集し、その延長上にある日本の近代美術を紹介する展覧会を開催しています。
佐倉ゆかりの錚々たる作家の作品を収蔵
佐倉市立美術館が作品を収集する佐倉市ゆかりの作家は、佐倉出身の明治時代の洋画家・浅井忠(あさいちゅう/幕末に佐倉藩中屋敷に生誕)、昭和43年に佐倉市にアトリエを構えた水彩画家・荒谷直之介(あらたになおのすけ)、5歳で佐倉・麻賀多神社の宮司・郡司秀綱の養子となり、7歳からの10年間を佐倉で過ごした鋳金工芸作家・香取秀真(かとりほつま)、佐倉出身で、日本を代表する鋳金工芸作家・津田信夫(つだしのぶ/父は江戸詰めの佐倉藩医)、旧佐倉藩士柿内家の三女として東京に生まれた衣装人形作家・堀柳女(ほりりゅうじょ)、佐倉出身の洋画家・都鳥英喜(ととりえいき/浅井忠は従兄弟)など、錚々(そうそう)たる顔ぶれ。
城下町・佐倉の、現在に至る文化レベルがよくわかります。
エントランスホールとなっている旧川崎銀行佐倉支店は、昭和12年に佐倉町(さくらまち/明治22年、佐倉城下13町で誕生)に売却され、佐倉町役場として使われ、昭和29年に佐倉市が誕生した際にも、初代の市庁舎となった建物です。
昭和46年に佐倉市役所新庁舎完成後は、中央公民館、市立図書館、佐倉新町資料館として利用され、平成6年の佐倉市立美術館の開館の際に、エントランスホールになったのです。
建築家・矢部又吉に注目!
旧川崎銀行佐倉支店(川崎銀行は、昭和18年に三菱銀行に吸収合併され、現在は三菱東京UFJ銀行に)を設計したのは建築家・矢部又吉。
大正〜昭和(戦前)に活躍した建築家で、妻木頼黄(つまきよりなか)に師事し、工手学校(現・工学院大学)建築科卒業。
明治39年、ドイツに留学し、シャルロッテンブルク工科大学(現・ベルリン工科大学)で学ぶかたわら、ドイツ人建築家リヒャルト・ゼールなどのもとで実務を経験。
帰国後は、昭和16年に53歳で没するまで、川崎銀行で知られる川崎財閥の信任を得て、川崎銀行本店など銀行をはじめとして国内で200を超える建築を手掛けています。
矢部又吉の建築として、千葉県内では千葉市美術館さや堂ホール(旧川崎銀行千葉支店)、佐原三菱館(旧川崎銀行佐原支店、旧三菱銀行佐原支店)が現存しています。
佐倉市立美術館 | |
名称 | 佐倉市立美術館/さくらしびじゅつかん |
所在地 | 千葉県佐倉市新町210 |
関連HP | 佐倉市立美術館公式ホームページ |
電車・バスで | 京成佐倉駅から徒歩10分。JR佐倉駅から徒歩20分 |
駐車場 | 佐倉市駐車場は閉鎖中(2022年8月下旬まで) |
問い合わせ | 佐倉市立美術館 TEL:043-485-7851/FAX:043-485-9892 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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