岐阜県岐阜市橋本町1丁目、JR岐阜駅北口広場に置かれているのが、丸窓電車モ513。大正15年にモ510形として5両製造されたうちの1両で、名鉄600V線区が全廃された平成17年まで車籍があり、「丸窓電車」としてイベントなどで引っ張りだこだった車両です。岐阜市の重要文化財に指定。
「丸窓電車」を岐阜駅前停留場跡に静態保存
大正15年、美濃電気軌道(名鉄岐阜市内線・美濃町線の前身)が日本車輌で製造した5両が、モ510形。
車体は当時流行してた正面5枚窓の半流線型に、楕円形の戸袋窓を採用し、「丸窓電車」として親しまれてきました。
長らく美濃町線で使用されてきましたが、昭和42年、揖斐・谷汲線から岐阜市内線へ乗り入れる直通急行用車輌として、520形とともに制御装置の更新、座席の転換クロスシート化などの改造を受け、岐阜駅前にデビュー。
直通運転開始時は、名鉄スカーレット(パノラマカーに採用されたスカーレットレッド=#C00029/R192・B41)と白のツートンカラーの塗装で、昭和50年頃から名鉄スカーレット一色に変更されましたが、昭和62年、鉄道友の会のエバーグリーン賞を受賞し、名鉄スカーレットと白のツートンカラーに戻されています。
モ513は、廃止翌年の平成18年から岐阜市内の金公園(こがねこうえん)に展示保存されていた保存車両を、岐阜駅北口広場完成10周年を記念して、令和元年11月16日、名鉄岐阜市内線の駅前停留所の位置に移設。
移転にあたり、痛んでいた屋根を貼り替え、車体を塗装し直し、新車のように。
しかも敷石など路面も少しだけ復元され、動き出しそうな雰囲気もあり、信長ゆめ広場・黄金の信長公像とともに、岐阜駅北口駅前広場のシンボルのひとつになっています。
市民団体「丸窓電車を保存する会」が操車場にあった点検用デッキと同じ形の見学台を設置し、運転台を覗くことができます。
製造された5両のうち、モ511は昭和63年に廃車となり、現存していません。
残るモ512は旧名鉄美濃町線美濃駅跡、モ514は名鉄谷汲線谷汲駅跡、モ515がオールドスパゲティファクトリー名古屋店(名古屋市南区三条1丁目)に静態保存されています。
岐阜市内を走った路面電車
明治44年に開通して以来、大正、昭和、平成と岐阜市の中心通りを走り続けてきた名鉄岐阜市内線の路面電車。
平成17年3月31日に、近郊路線の揖斐線、美濃町線、田神線とともに全線廃止に。
岐阜市内線には長良線と呼ばれた徹明町〜長良北町間の3.9kmが昭和63年に廃止され、最後まで残ったのが本線の岐阜駅前〜忠節間の3.7kmでした。
岐阜市内線は、橋梁を含め、全線がほぼ道路上を走る併用軌道だったこともあり、車の邪魔になるだけでなく、道路に白線を書いて囲っただけの停留所が多く、交通事故の危険もあることから、惜しまれつつも廃止されています。
丸窓電車モ513(岐阜駅北口駅前広場) | |
名称 | 丸窓電車モ513(岐阜駅北口駅前広場)/まるまどでんしゃも513(ぎふえききたぐちえきまえひろば) |
所在地 | 岐阜県岐阜市橋本町1-100 |
電車・バスで | JR岐阜駅から徒歩すぐ、名鉄新岐阜駅から徒歩5分 |
ドライブで | 東海北陸自動車道岐阜各務原ICからから約8km |
駐車場 | 周辺の有料駐車場を利用 |
問い合わせ | 岐阜観光コンベンション協会 TEL:058-266-5588/FAX:058-266-5995 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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