伊香保温泉・石段街

伊香保温泉・石段街

榛名山(はるなさん)北東麓に湧く古湯、伊香保温泉。戦国時代にできたという石段と石段街は、温泉街のシンボル的存在。山上の伊香保神社と山裾の伊香保御関所を300m、365段で結んでいます。石段の両側には、みやげ物屋などが軒を連ねていますが、この石段には温泉が流れ、配湯システムにもなっています。

伊香保温泉のシンボル的存在の石段は戦国時代に完成


石段街は長篠の戦いで敗れた武田勝頼が真田昌幸(真田幸村は昌幸の次男)に命じて造らせたもの。
温泉街は当初、源泉近くにありましたが、長篠の合戦での多数の負傷者の治療のため、石段沿いに温泉街を建築したのだと伝えられています。

石段の内部には温泉を流す湯樋が通され、今も往時と変わらず、これで温泉を各旅館に配湯するシステムにもなっているのです。

石段途中で分湯する口を小間口(小満口)といい、温泉は16ヶ所設けられた小間口から巧みに配湯されています。

石段は長篠の戦いの翌年、天正4年(1576年)に完成し、小間口による分湯方式は寛永16年(1639年)に規定された制度で、今もほとんどそのスタイルに変化はありません。


途中には、宿に分湯される温泉が、地下を流れる様子をガラス越しに眺められる小間口、ベンチなどもあり、ひと息つくことも可能。

石段下を流れる温泉の泉質は硫酸塩泉、地中では無色透明ですが空気に触れると鉄分が酸化して色づくことから「黄金の湯」(こがねのゆ)と呼ばれています。

石段途中には、日本の温泉まんじゅうのルーツとなった、「勝月堂」(明治43年創業)や射的の「柳香軒」(明治18年創業)などもあり、温泉文化を堪能できます。

なお、現在の石段は、昭和55年から5年を費やして大改修されたもので、御影石が敷かれています。
さらに平成22年に石段を新設追加して365段となったのです(温泉水が流れる「湯滝」や広場を設置)。
365段の石段には「温泉街が1年365日、賑わうようになってほしい」という繁栄の願いが込められているのです。

与謝野晶子『伊香保の街』

中腹の石段に刻まれたのが、大正4年、女流歌人・与謝野晶子が発表した詩『伊香保の街』。

『伊香保の街』

榛名山の一角に、段また段を成して、
羅馬(ローマ)時代の野外劇場の如く、
斜めに刻み附けられた 桟敷形(さじきがた)の伊香保の街、
屋根の上に屋根、部屋の上に部屋、
すべてが温泉宿である、そして榛(はり=ハンノキ)の若葉の光が
柔かい緑で 街全體(まちぜんたい)を濡らしてゐ(い)る。
街を縦に貫く本道は 雑多の店に縁どられて、
長い長い石の階段を作り、伊香保神社の前にまで、
Hの字を無数に積み上げて、
殊更に建築家と繪師(絵師)とを喜ばせる

伊香保温泉・石段街
石段に刻まれた与謝野晶子『伊香保の街』
【渋川市プロモーション動画】伊香保温泉石段街の魅力
伊香保温泉・石段街
名称伊香保温泉・石段街/いかほおんせん・いしだんがい
所在地群馬県渋川市伊香保町伊香保
関連HP渋川市公式ホームページ
渋川伊香保温泉観光協会公式ホームページ
電車・バスでJR渋川駅から関越交通バス伊香保温泉行きで27分、終点下車、徒歩5分
ドライブで関越自動車道渋川伊香保ICから約11km
駐車場徳冨蘆花記念文学館駐車場(70台/有料)
問い合わせ渋川伊香保温泉観光協会 TEL:0279-72-3151
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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