太田市立新田荘歴史資料館

太田市立新田荘歴史資料館

群馬県太田市の世良田東照宮、長楽寺に隣接する歴史公園に建つ新田荘を中心とする一帯の歴史を解説する資料館が太田市立新田荘歴史資料館。古墳時代には1000基を超える古墳が築かれた東日本最大の勢力を誇る毛野国(けぬくに)の中心地。徳川家康は、新田氏がルーツとしたため、江戸時代には「徳川氏発祥の地」にもなったのです。

新田荘は「徳川氏発祥の地」でもある

久寿元年(1154年)頃、新田義重(源義国の子、源義家の孫)が荘園を開発、東国武士の礎を築きました。
これが上野国新田郡を中心とした地域(現在の群馬県太田市および桐生市・伊勢崎市・みどり市の一部と埼玉県深谷市の一部)にあった荘園、新田荘の始まり。
天仁元年(1108年)の浅間山の噴火によって荒廃した新田郡を開拓していったのです。

新田氏からは鎌倉幕府を倒幕し、建武新政を成し遂げた新田義貞(にったよしさだ/8代目棟梁)を生み出しましたが南朝の敗退とともに没落、戦国末期には上杉・武田・北条氏の勢力が相争う地となりました。

家康は、もともと松平家でしたが(桶狭間合戦後、今川家の人質を逃れた際に松平元康を松平家康に改名)、永禄9年(1566)年までには三河を平定し、この年、朝廷から従五位下・三河守の叙任します。
永禄9年(1566年)12月19日、勅許を受けて徳川家康と改名していますが、家康の祖父・松平清康の時代から新田氏一門である徳川氏の庶流・世良田姓を称し、通称として世良田次郎三郎と名乗っていました(三河には当時、南朝方の残党が逃れてきたことに関する伝承が多くあったと推測できます)。
家康は、三河守任官に際して、近衞前久(このえさきひさ)に相談し、ルーツを上野国新田郡新田荘世良田郷(現在の群馬県太田市世良田町)とし、徳川氏を名乗るようになったのです。

慶長18年(1613年)、家康が呑龍上人(どんりゅうしょうにん)を開山に、新田義重を祀る大光院を開いたのも徳川姓を名乗ることの正当化のため。
隣接する1644年(寛永21年)創建で家康を祀る世良田東照宮も、新田氏の開祖・新田義重の居館跡という立地です。
徳川家の祖とされる世良田義季(得川義季)が創建という長楽寺も江戸時代には徳川家の尊崇を得て繁栄しています。
世良田東照宮、長楽寺を含む11ヶ所の遺跡からなる荘園遺跡「新田荘遺跡」もありますが、太田市立新田荘歴史資料館は、そのビジターセンター的な役割も担っているのです。

一帯は文化遺産の質量として東日本でも屈指のエリアで、その中核をなすのが太田市立新田荘歴史資料館なのです。

史跡新田荘遺跡(国の史跡)

円福寺境内(太田市別所町/別所茶臼山古墳)
十二所神社境内(太田市別所町)
総持寺境内(太田市世良田町)
長楽寺境内(太田市世良田町)
世良田東照宮境内(太田市世良田町)
明王院境内(太田市安養寺町)
生品神社境内(太田市新田市野井町)
反町館跡(太田市新田)
江田館跡(太田市新田上江田町)
重殿水源(太田市新田市野井町)
矢太神水源(太田市新田大根町)

太田市立新田荘歴史資料館
名称 太田市立新田荘歴史資料館/おおたしりつにったのしょうれきししりょうかん
所在地 群馬県太田市世良田町3113-9
関連HP 太田市立新田荘歴史資料館公式ホームページ
電車・バスで 東武伊勢崎線世良田駅から徒歩20分
ドライブで 北関東自動車道伊勢崎ICから約12km、または関越自動車道花園ICから約19km
駐車場 100台/無料
問い合わせ 太田市立新田荘歴史資料館 TEL:0276-52-2215/FAX:0276-52-2208
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

世良田東照宮

1639(寛永16)年、天海大僧正が3代将軍・徳川家光に要請し、世良田の長楽寺境内に日光東照宮奥社(元和年間に造営の多宝塔、唐門、拝殿)を移築して創建したのが世良田東照宮。本殿はその際に新築され、徳川家康(東照大権現)を祀っています。実は、

反町館跡(照明寺)

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国指定史跡「新田荘遺跡」を構成する11の遺跡(円福寺境内、十二所神社境内、総持寺境内、長楽寺境内、東照宮境内、明王院境内、生品神社境内、反町館跡、江田館跡、重殿水源、矢太神水源)のなかでも最も重要な新田義貞の館跡が反町館跡(照明寺)。周囲に

生品神社

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別所茶臼山古墳(円福寺茶臼山古墳)

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