大正8年に開業した箱根登山鉄道。開業時からの車両であるチキ1形を昭和25年の小田急車両の乗り入れ開始時に改造した車両がモハ1形。103号、107号は令和元年7月に引退し、現役で活躍するのは104号、106号のみとなっています(ともに汽車会社東京支店製造)。
箱根登山鉄道でレトロな車両(複電圧式)に注目を!
100形は、当初は1両で運転されることがあったため、路面電車のような両運転台の車両でしたが、平成5年に2両固定編成に改造され、編成中央部の運転室は撤去されています。
座席はロングシートで、定員93人(座席48人)。
モハ104号〜106号のうち、モハ105号が欠番なのは、改造前のチキ5号が大正15年1月16日、宮ノ下のカーブで脱線事故を起こし廃車となったため。
箱根登山鉄道の単独区間(箱根湯本駅〜強羅駅)は、直流750V(開業時は直流650V、平成5年に750Vに昇圧)ですが、小田急電鉄の乗り入れ区間となる小田原駅〜箱根湯本駅は1500Vのため、昭和25年の小田急車両の箱根湯本乗り入れに際しては、両方の電圧に対応できる複電圧式に改良されています。
現在、100形を含む箱根登山鉄道の車両は、すべて箱根湯本駅始発で、箱根湯本駅〜強羅駅の運転に限られていますが、車両基地が小田原駅〜箱根湯本駅間の入生田(いりゅうだ)にあるため、1500Vにも対応する複電圧式が採用されているのです(国内の複電圧式は、このほか在来線直通の東北新幹線・山形新幹線の新幹線E3系、東北新幹線・秋田新幹線のE6系電車、JR東日本E001形「TRAIN SUITE 四季島」があります)。
撮り鉄など、鉄道ファンが注目するのはカラーリングで、令和元年の『箱根湯本-強羅間開業100周年キャンペーン』に合わせて106号は昭和24年~昭和32年頃の標準塗装である青と黄色のツートンに塗装され、104号の標準色(オレンジ)と異なる塗り分けになっていましたが、令和5年11月から行なわれた定期検査で106号が標準色に戻され、2両編成での運用でも落ち着いた感じになったのです(検査を終えて令和6年1月に運用に復帰)。
このレトロな100形は時刻表でも運行の確認ができませんが、箱根湯本駅のホームで待っていると、ホームに多くの駅員が待機すれば100形の入線となります。
100形は出入口付近にホームとの段差があるため、すべての扉に係員を配置して足元の段差の注意を呼びかけるため多くの駅員がホームに登場するのです。
ちなみに、モハ103は日本工業大学宮代キャンパス(埼玉県南埼玉郡宮代町)、モハ107は風祭駅近くの「鈴廣蒲鉾本店」(神奈川県小田原市)に併設の「えれんなごっそCAFE107」として静態保存されています。
箱根登山鉄道で最古参のモハ1形104号〜106号が現役で活躍中! | |
所在地 | 神奈川県足柄下郡箱根町湯本〜強羅 |
場所 | 箱根登山鉄道・箱根湯本駅〜強羅駅 |
関連HP | 箱根登山鉄道公式ホームページ |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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