1985年3月17日〜9月16日、茨城県の筑波研究学園都市で、「人間・居住・環境と科学技術」をテーマに開催された『国際科学技術博覧会(科学万博)』。総入場者数2033万4727人という記録を残した『科学万博』の玄関駅は常磐線の臨時駅、万博中央駅。現在はひたち野うしく駅となっています。
なにもない場所に、1日20万人が利用できる駅を建設

『国際科学技術博覧会(科学万博)』は、茨城県筑波郡谷田部町御幸が丘(現在のつくば市御幸が丘)をメイン会場に日本を含め48ヶ国と37の国際機関が参加する国際博覧会(特別博)、そのためアクセスの確保が大きな課題となりました。
鉄道利用のメインルートとなったのは常磐線で、万博開催期間限定で仮乗降場の万博中央駅を設置。
2両連節バス「スーパーシャトル」を万博会場北ゲートとの間にピストン運行しました。
仮乗降場といいながらも1日最大20万人の乗降者に対応できるよう設計され、当時の名古屋駅などと同じサイズの臨時駅が生まれたのです。
特急は通過しましたが、普通列車と臨時快速列車「エキスポライナー」が輸送手段となったのです。
地元は駅の恒久的存続を請願しましたが(当時は稲敷郡牛久町で、一帯を開発しようと考えたのです)、大きな赤字を抱える国鉄は、臨時駅という理由でこれを拒絶し、上下線間連絡用跨線橋を残し、「飛翔」と題された記念碑を設置するだけですべての構造物を破却しています。
どうして国鉄が駅存続を拒絶しかたとえいば、当時、周囲には何もない、「秘境駅」だったから。
そのため、万博期間中だけ開設する仮設の駅として工事したという理由で、廃止したのです。

「関東の駅百選」に選定、一部の特急「ときわ」も停車


その後、周辺の宅地化が進み、1998年3月14日、万博中央駅跡地を利用して、ひたち野うしく駅が開業。
1999年には、「関東の駅百選」に選定、選定理由は「安全・環境を考慮した21世紀にふさわしいゆとりある駅」です。
茨城県内の常磐線の駅では最後に誕生した駅で、2005年8月24日にはつくばエクスプレス線(TX)の開業で利用者が減りましたが、周辺の住宅開発で現在ではつくばエクスプレス線開業前よりも乗降者数が増えています。
しかも万博中央駅は特急も通過していましたが、現在は特急「ときわ」の一部(朝の上り、夜の下り)が停車する、特急停車駅に。
駅東口からはつくばセンターなど筑波学園都市と結ぶバスが発着しています。
ちなみに常磐線は『科学万博』開催まで、「赤電」と呼ばれる赤い塗装でしたが、『科学万博』開催をきっかけに415系など、白地に青色のラインカラーを持つ中距離電車を投入。
青が科学万博のシンボルマークや公式キャラクターだったコスモ星丸のイメージカラーだったからともいえる赤から青へのカラーチェンジで、『科学万博』カラーともいえるかもしれません。
現在もこの青色が踏襲されています。
実は東海道新幹線の新幹線ブルー、ブルートレインと呼ばれた国鉄14系客車と同じ青20号で、国鉄部内での慣用色名称は「ブライトブルー」です。

『科学万博』・万博中央駅は、ひたち野うしく駅に生まれ変わっている! | |
所在地 | 茨城県牛久市ひたち野西3丁目 |
場所 | ひたち野うしく駅 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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