戦前は海軍の軍港として繁栄した広島県呉市。呉港のすぐ背後にある入船山は、明治時代までは村の氏神、亀山神社があった鎮守の森。明治19年に海軍の軍用地となり、呉鎮守府司令長官官舎が建てられました。現在では自然林を生かした入船山公園となっていて、そのシンボルが、旧呉鎮守府司令長官官舎(国の重要文化財)の入船山記念館。
森にたたずむ美しい建物は呉鎮守府司令長官官舎
明治19年、第二海軍区の鎮守府開設の地として呉が指定された際に、入船山は海軍用地となり、亀山神社は現在の地(呉市清水)に移転。
明治22年に呉鎮守府が開庁し、明治23年、軍政会議所兼水交社が入船山に建てられ、明治25年から呉鎮守府司令長官官舎として利用を開始。
明治38年の芸予地震で倒壊し、長官専用の官舎として建てられたのが現存する旧呉鎮守府司令長官官舎です。
設計は、イギリスで建築を学び、明治36年に呉鎮守府経理部建築科長となった櫻井小太郎(さくらいこたろう=日本人初の英国の王立建築家協会建築士)。
第二次大戦後は、昭和31年までイギリス連邦占領軍(BCOF)の官舎として利用されています。
昭和42年に入船山記念館として開館。
平成3年〜7年に大修復が行なわれ、明治38年の再建時の姿に戻されています。
洋館客室の壁や天井には金唐紙(金唐革紙)が使われていることが判明し、当時の金唐紙とオリジナルの模様を復刻して修復。
ハーフティンバー様式(半木骨造)の洋館部分と和風の部分を併せ持つ官舎で、呉鎮守府司令長官として執務した人は32名。
太平洋戦争開戦時の駐米大使だった野村吉三郎、終戦時の首相を務めた鈴木貫太郎もそのうちのひとりです。
旧呉鎮守府司令長官官舎、NHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』のロケ地となった旧東郷家住宅離れ、旧呉海軍工廠塔時計、旧高烏砲台火薬庫(1号館)、歴史民俗資料館(近世文書館)、郷土館の全体が、入船山記念館となっています。
日本遺産「鎮守府 横須賀・呉・佐世保・舞鶴~日本近代化の躍動を体感できるまち~」の構成資産にもなっています。
入船山記念館 | |
名称 | 入船山記念館/いりふねやまきねんかん |
所在地 | 広島県呉市幸町4-6 |
関連HP | 入船山記念館公式ホームページ |
電車・バスで | JR呉駅から徒歩13分 |
ドライブで | 広島呉道路呉ICから約2km |
駐車場 | 入船山公園駐車場(122台/有料) |
問い合わせ | 入船山記念館 TEL:0823-21-1037/FAX:0823-26-6270 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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