北海道根室市納沙布、明治5年に「灯台の父」といわれるR.H.ブラントン(Richard Henry Brunton)が建てた八角形の木造洋式灯台がルーツという歴史ある灯台。北海道で最古の灯台で、北方領土を除いて日本最東端の灯台です。現在の灯台は昭和5年に建てられたもので、「日本の灯台50選」にも選定。
ブラントンが設計した初代の灯台は、六角形の木造

納沙布岬と歯舞群島(はぼまいぐんとう)・水晶島(すいしょうじま)の間にある珸瑶瑁水道(ごようまいすいどう)は暗礁浅瀬という海の難所で、さらにはロシアの南下政策を牽制し、千島列島の開発促進を図る目的、さらには北米航路の要衝ということもあって明治の初め、北海道で真っ先に建築された灯台です。
明治3年、根室国の開拓使判官・松本十郎(まつもとじゅうろう/庄内藩出身)が難破船の帆柱を利用して灯竿(標木)を建てたのが始まり。
近代的灯台としては、「灯台の父」と称されるイギリス技師リチャード・ヘンリー・ブラントンの設計で、明治5年7月12日(旧暦)に初点灯。
当時の灯台は塔高13m、六角形の木造で光源に石油を使用していました。
木造だったため、劣化が進み、昭和5年にコンクリート造りに改築。
意外に背の低い灯台で、地上から塔頂までは13.5m、平均海面から灯火部分までは23.2mしかありません。
霧が多い場所ですが、高さが低いためか赤白ではなく、白亜の灯台となっています。
光達距離は、14.5海里(約27km)で、明3秒暗3秒。
現在の灯台は昭和5年築のコンクリート製

現在の灯台の1階部分が方形なのは、霧笛の装置を収納するため。
方形・円形の複合鉄筋コンクリート構造となっています。
霧笛を発する霧信号所は明治11年に開設された歴史ある施設ですが、船舶レーダーやGPSの普及により、平成22年3月にその役割を終えています。
見学できる参観灯台ではありませんが、例年、海の日、あるいは11月1日(灯台記念日)前後の土曜か日曜に一般公開されています。
納沙布岬に建つ「請望苑」社長の話では、灯台下の岩礁にはラッコを目にすることもあるのだとか。
ちなみに納沙布(ノサップ)という地名は、稚内の野寒布(ノシャップ)と同様に、アイヌ語のノッ・サム(not-sam=岬の・かたわら)に由来します(上原熊次郎著『蝦夷地名考并里程記』/アイヌ語のノッシャム=則崎の際の意)。
岬そのものを指す地名ではなく、岬の横にあったコタン(集落)のことを意味しているようです。
根室市には「日本の灯台50選」選定の灯台が3ヶ所(納沙布岬灯台・花咲灯台・落石岬灯台)あって、日本一の「灯台の町」にもなっています。
納沙布岬灯台は、土木学会選奨土木遺産にも認定(道内の灯台では、チキウ岬灯台に次いで2例目)。
なお、北海道でも灯台の至近まで車で入れる希少な灯台となっていて、根室半一周ドライブでも立ち寄りやすいポイントです(灯台近くの駐車場をお見逃しなく)。


| 納沙布岬灯台 | |
| 名称 | 納沙布岬灯台/のさっぷみさきとうだい |
| 所在地 | 北海道根室市納沙布 |
| 関連HP | 根室観光協会公式ホームページ |
| ドライブで | 根室中標津空港から約105km |
| 駐車場 | 20台/無料 |
| 問い合わせ | 根室市観光協会 TEL:0153-24-3104 |
| 掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 | |

































