北海道広尾郡大樹町旭浜、歴舟川の河口の西側、旭浜にあるコンクリート製の構造物群が、旭浜のトーチカ群。トーチカは、鉄筋コンクリート製の特殊陣地。第二次大戦下、アメリカ軍の十勝上陸に備えて構築されたという戦争遺跡で、大樹町の文化財にもなっています。
平成20年9月に発見された「旭浜防霧林トーチカ」も
大樹町トーチカは、十勝海岸沿いの旭浜のトーチカ群のほかにも、平成20年9月に旭浜沿岸にある町有林(防霧林)の伐採作業中に3mもの土に埋もれた「旭浜防霧林トーチカ」が発見されています。
四角の角(かど)を切り落とした形の八角形で、高さ3.5m、周囲26m、コンクリートの厚さは最大で1.8mという頑強なもの。
コンクリートなど物資不足の中で、アメリカ軍の上陸に備え、かなり堅牢なトーチカを優先して築いたことがよくわかります。
入口は南側に配置し、銃眼穴は北向きと東向きに2つ備え、通路は入口からすぐに右側に折れていることから、付近に着弾した爆風を食い止める構造になっています。
歴舟川に沿って北海道道501号(旭浜大樹停車場線)を走れば、旭浜トーチカの案内板が出ており、道道は、最後はダートの道となり、海岸に出るとコンクリートのトーチカが点在する様子がわかります(Google マップで空撮を選べば、海岸部に残る構築物が確認可能。)。
舗装道路の終点で南(広尾町・紋別川川河口)へ走る舗装道路に入れば、平成20年9月に発見された「旭浜防霧林トーチカ」があり、大樹町の文化財として整備されており(土に埋もれていたため保存状態も良好)、見学ができます。
大樹町には15基のトーチカが現存
旭浜のトーチカ群のさらに西側に豊似浜のトーチカ群(広尾町)が連続していますが、まさに知る人ぞ知る戦争遺跡として埋もれています。
一帯にあるトーチカは、太平洋戦争末期の昭和19年5月、「北鎮部隊」、「熊舞台」と通称された陸軍第7師団(北辺の守りを担う重要師団で、「動かざる師団」として北海道に駐屯)が「本土沿岸築城実施要綱」(サイパン島陥落を受けて昭和19年7月20日制定)に基づき、第31警備隊、第32警備隊に命じて構築したもので、大樹町内では15基が確認されています。
十勝海岸にアメリカ軍が上陸することはなく、実戦では使われていません。
ちなみにトーチカ(точка)はロシア語の点(дот)を意味する言葉で、掩体壕(バンカー)の一種。
艦砲射撃や榴弾砲の直撃にも耐えうるようにコンクリートで頑丈な施設が構築されています。
第31警備隊、第32警備隊が築いた同様のトーチカは、網走の海岸線(帽子岩トーチカなど)、根室の海岸部(落石トーチカなど)にもありますが、頑強な構造のため多くは現存し、貴重な戦争遺跡となっています。
旭浜のトーチカ群 | |
名称 | 旭浜のトーチカ群/あさひはまのとーちかぐん |
所在地 | 北海道広尾郡大樹町旭浜 |
関連HP | 大樹町公式ホームページ |
ドライブで | とかち帯広空港から約46km |
問い合わせ | 大樹町教育委員会社会教育課社会教育係 TEL:01558-6-2133/FAX:01558-6-2056 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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