石川県輪島市門前町劔地にある鳴き砂(鳴り砂)の浜が琴ヶ浜。能登半島随一ともいわれる景勝地、能登金剛のすぐ北側にある海岸で、お小夜と船乗り重蔵との悲恋物語が伝わり、お小夜の涙が砂となり、砂丘を歩くと「キュッキュッ」と泣くような音がすることから琴ヶ浜は別名「泣き砂の浜」と呼ばれています。
大正時代までは泣き浜(ごめきはま)と呼称
NHK連続テレビ小説『まれ』(平成27年)のオープニングでヒロイン・紺谷希(土屋太鳳)のダンスシーンのロケ地となったのがこの琴ヶ浜。
琴ヶ浜の奥、渡瀬(現・輪島市門前町渡瀬)に住む次郎助の娘・お小夜。
夫の重蔵は、沖の舳倉島(へぐらじま)とを行き交う船頭をしていましたが、ある時、時化(しけ)で船が沈み、愛する夫は戻ることがありませんでした。
お小夜は、何日も何日も琴ヶ浜で夫を待ったので、お小夜の涙は、砂に染み込み続けます。
帰らぬ夫に悲観して、お小夜は自らも海に身を投じますが、その後、砂上を歩くと、「キュッキュッ」と泣くような音がすることになったのだとか。
その悲恋伝説から、地元では琴ヶ浜を泣き浜(ごめきはま)と呼ぶようになったのです。
琴ヶ浜という粋な名前がついたのは大正時代になってから。
鳴き砂海岸に共通する特徴は砂浜に含まれる石英(結晶性シリカ)の豊富さ。
琴ヶ浜では海岸の砂の7割以上が石英です。
奥能登ではまれな花崗岩の山が門前町の阿岸川と仁岸川の上流2ヶ所にあることから、川で海へと運ばれた花崗岩に含まれる石英が日本海の荒波で洗われ、浜に堆積し、全国的にも珍しい鳴り砂の浜が誕生したのです。
鳴き砂の仕組みは非常にデリケートで、石英粒の表面が少しでも汚れると音が出なくなるため、かつて国内に60ヶ所以上を数えた鳴き砂の浜も、今では20ヶ所ほどに減少しています。
能登では国道249号を琴ヶ浜から北に6kmほど北に走った千代浜も泣き砂(鳴き砂)の海岸です。
琴ヶ浜、千代浜の北にある黒島集落は、北前船の寄港地として栄えた船主集落で、重伝建(輪島市黒島地区伝統的建造物群保存地区)に選定。
お小夜と重蔵の悲恋物語も、北前船が生んだ伝説なのかもしれません。
琴ヶ浜海岸のすぐ北には、国道249号沿いの海岸にトトロ岩と通称される剱地権現岩もあるのであわせて見学を。
琴ヶ浜 | |
名称 | 琴ヶ浜/ことがはま |
所在地 | 石川県輪島市門前町剱地 |
関連HP | 輪島市観光協会公式ホームページ |
ドライブで | のと里山海道西山ICから約32km |
駐車場 | 30台/無料 |
問い合わせ | 輪島市門前総合支所地域振興課 TEL:0768-42-8720/FAX:0768-42-0594 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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