2024年8月21日、気象庁(仙台管区気象台)は、岩手山の山体膨張の観測を発表、今後、火山性地震の増加や火山性微動の発生など火山活動がさらに高まった場合には、現在の噴火警戒レベル1(活火山であることに留意)から噴火警戒レベル2(火口周辺規制)に引き上げる可能性があると警戒を呼びかけています。
黒倉山や大地獄谷への入山はヘルメットの携行を!
現状では、噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに留意)の予報事項に変更はないとしていますが、「黒倉山や大地獄谷付近では、噴気や火山ガスの噴出等がみられます。ヘルメットの携行や立入規制等地元自治体の指示に従ってください」(気象庁)としています。
黒倉山付近では2024年5月頃から計数基準に満たない微小な火山性地震が増加しており、7月下旬以降さらに増加、また、山頂付近では2020年4月頃から火山性地震の発生頻度がやや高い状態で推移しているとのこと。
岩手山周辺のひずみ計と傾斜計では、2024年2月頃から山体膨張を示唆する変化があり、気象庁では今回の発表に至ったわけですが、岩手山の火山活動が活発化した1998年にも同様の変化がありましたが、そのときはそのまま終息しています。
西岩手・東岩手の2つの成層火山から成る岩手山は、あまり知られていませんが、爆発型噴火が特徴で、山体崩壊の回数は、国内の活火山の中で最多という活発な火山。
少なくとも7回の大規模山体崩壊が発生し、その崩壊堆積物が山麓を広く覆っているのです。
そうした火山活動が、美しい山麓の景観を生み出していますが、常に活火山として地震計、傾斜計、空振計、GNSS、監視カメラを設置し、監視・観測されています。
文献に記載され、噴火の規模について明らかになっているのは、1686年(貞亨3年)の山頂噴火(盛岡城下でも激しい降灰)と1732年(享保16年~享保17年)の山腹噴火(有名な焼走り熔岩流)。
大正8年には西岩手火山大地獄谷で水蒸気噴火があり、噴石が大地獄脇の登山道に飛散しています。
大地獄谷への入山は、こうした水蒸気噴火の可能性はあるので、ヘルメット着用が呼びかけられているのです。
2011年3月11日の東日本大震災以降、山頂の西北西10kmで地震活動が活発化したので、プレートと火山は密接な関係にあることがわかります。
岩手山で山体膨張を観測、火山活動が高まっている可能性が | |
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