吉永小百合が旅するテレビCMで注目のJR東日本大人の休日倶楽部。令和5年秋に放送のCMは、茨城県「笠間の小さな秋篇」。登場するのは、茨城県笠間市にある笠間稲荷神社、笠間日動美術館分館の春風萬里荘など。「春風萬里」とは、北大路魯山人が好んで用いた李白の漢詩にある言葉です。
「関東の小京都・笠間」で栗実り、菊が咲く秋を満喫
冒頭に栗が登場し、栗料理の店などが出てくるのは、単に秋を強調したいからではなく、茨城県は栽培面積・出荷量とも全国第1位を誇る栗の生産地で、なかでも笠間はその主産地(茨城県内一の栽培面積)だから。
「関東の小京都」とも呼ばれる笠間市ですが、赤城火山などによる火山灰土壌(関東ローム層)で、保水、通気性に優れ、栗の栽培には最適なのです。
栗は、早生(わせ)・中生(なかて)・晩生(おくて)に分かれて、9月上旬~10月下旬が収穫時期、つまりは笠間の秋は、栗の秋でもあるのです。
そんなことをCMのなかに潜めながら、吉永小百合が最初に向かったのは、笠間稲荷神社。
伏見稲荷大社(京都市)、豊川稲荷(愛知県豊川市)とともに日本三大稲荷にも数えられ、本殿は、国の重要文化財に指定されています。
吉永小百合が菊を愛でるシーンがあるのは、10月下旬〜11月下旬に笠間稲荷神社をメイン会場に開かれる『笠間の菊まつり』。
明治41年に開始された歴史ある菊まつりで、令和5年で116回を数え、絵馬殿和傘アートなど境内を和傘で彩る風流な『アンブレラスカイ』も行なわれます。
笠間焼の工房巡りを楽しむ設定で、最後に登場するのが春風萬里荘。
笠間駅の南に広がる丘に洋画家、日本画家、彫刻家、陶芸家、染織家など40戸ほどのアトリエが点在する、「芸術の村」にある笠間日動美術館分館です。
料理家でありながら優れた陶芸家として知られる北大路魯山人が住居としていた北鎌倉の茅葺き民家を、北大路魯山人没後(昭和34年没)の昭和40年に「芸術の村」に移築したもの(もともとは高座郡御所見村、現在の藤沢市北西部にあった大庄屋の主屋です)。
「春風萬里」とは、李白(りはく=中国の唐代の詩人)の漢詩(『唐詩選』巻四「送儲邕之武昌」にある「黄鶴西樓月 長江萬里情 春風三十度 空憶武昌城」)からとった言葉で、北大路魯山人が好んで用いていたものなのだとか。
春風萬里荘の内部には北大路魯山人遺作の陶磁器などが展示され、見学が可能。
春風萬里荘の前には広大な回遊式庭園があり、さらに裏には龍安寺の石庭を模したという枯山水庭園も配され、秋の紅葉は見事です(紅葉の見頃は『笠間の菊まつり』と重なる11月上旬~11月下旬)。
茨城県「笠間の小さな秋篇」の最後のシーンに登場する、京の枯山水を思わせるシーンは、この龍安寺の石庭を模した枯山水庭園。
視聴者に「関東の小京都・笠間」を焼き付けるという心憎いエンディングで、短いCMのなかに秋の笠間が見事に凝縮されています。
大人の休日倶楽部・茨城県「笠間の小さな秋篇」で紹介の春風萬里荘はここ! | |
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