根香寺(四国八十八ヶ所霊場第82番札所)

根香寺(四国八十八ヶ所霊場第82番札所)

香川県高松市、高松市西部・五色台の青峰中腹にある天台宗系の単立寺院が根香寺(ねごろじ)。寺伝によれば、入唐前の空海が花蔵院を建立、五大明王を祀ったのが始まりとか。天長9年(832年)、円珍(智証大師)が香木で千手観音を刻み、千手院を建立。この2院を総称し、根香寺となったもの。

空海(弘法大師)、円珍(智証大師)ゆかりの寺

根香寺(四国八十八ヶ所霊場第82番札所)

千手院を建立した円珍(智証大師)も入唐八家(最澄・空海・常暁・円行・円仁・恵運・円珍・宗叡)のひとり。
出自は、空海と同じ讃岐国(香川県)金倉郷で、佐伯一門のひとり、空海の甥(姪の息子とも)と伝えられています。
証大師は蓮華谷の木で千手観音像を彫造し、安置しますが、その切り株(根)から芳香を放ち続けたことから、根香寺となったもの。

平安時代末期には後白河天皇の帰依を受け繁栄しています。
その後、戦乱などで衰退しましたが、寛文4年(1664年)、高松藩初代藩主・松平頼重が再興し、真言宗から天台宗に改宗しています。

根香寺本尊の千手観音立像は桜の一木造りで国の重要文化財。
高さ163cmの漆箔で、33年に一度開帳される秘仏となっています(次回は2036年の予定)。
大師堂で大師像が拝観できるほか、五大明王堂に安置される五大尊像(不動明王像、降三世夜王像、軍茶利明王像、大威徳明王像、金剛夜叉明王像/香川県の文化財)も見応えがあります。

本堂前の凹字型回廊に、全国の信者が奉納した3万3000体の観音像が並び、「万体観音」と呼ばれています。

牛鬼の像が出迎えてくれる

根香寺(四国八十八ヶ所霊場第82番札所)

根香寺には牛鬼の伝説があり、牛鬼の角と掛け軸が伝えられています。
牛鬼の伝説とは、その昔、牛鬼という怪物が住み人々を苦しめた時、弓の名手である山田蔵人高清が、この寺の本尊である千手観音に願をかけ、満願の日にみごと牛鬼を退治したというもの。
高清が切り取った牛鬼の角が根香寺に伝わっているのです。
角と掛け軸は非公開ですが、境内の一角には牛鬼の像が立っています。

昭和2年、香川新報社が、「古昔より天下に知れ渡った名勝旧蹟のほかに隠れたる歴史的由緒ある勝景絶佳の地」を「天下に公表紹介」するという人気投票形式で実施した観光地コンテストを行ない、「讃岐十景」を選出。
そのなかから根香寺、庵治竹居観音、塩ノ江温泉、榎井日柳燕碑、金蔵寺が「讃岐五景」にも選定されており、根香寺の見事な石垣の下に「讃岐五景」の石碑が立てられています(当時は、選定に組織的な運動が行なわれるなど加熱した大ブームが生まれ、屋島、金刀比羅宮、栗林公園は特選として別格扱いされ、得票数20位までが順に「讃岐十景」、「讃岐五景」、「讃岐五勝」として当選)。

白峯寺へと続く「讃岐遍路道 根香寺道」は国の史跡となっています(指定部分は5kmのうち2.234km)。

鷲峰寺(じゅうぶじ)は根香寺の奥の院で、天平勝宝6年(754年)唐僧・鑑真により建立されたという古刹で、智証大師十七檀林のひとつ。

根香寺周辺は新緑、紅葉の名所で、紅葉の見頃は例年11月下旬頃。

根香寺(四国八十八ヶ所霊場第82番札所)

四国八十八ヶ所霊場(四国遍路) 霊場間の距離・時間

81番札所・白峯寺(しらみねじ/香川県坂出市青海町2635) ・・・(車8km・15分/4.6km・1時間20分)・・・82番札所・根香寺(ねごろじ/香川県高松市中山町1506)・・・ (車15km・30分/13.3km・3時間20分) ・・・ 83番札所・一宮寺(いちのみやじ/香川県高松市一宮町607)

根香寺(四国八十八ヶ所霊場第82番札所)
名称 根香寺(四国八十八ヶ所霊場第82番札所)/ねごろじ
所在地 香川県高松市中山町1506
関連HP 四国八十八ヶ所霊場会公式ホームページ
電車・バスで JR高松駅からタクシーで30分
ドライブで 瀬戸中央自動車道坂出北ICから約18km
駐車場 30台/無料
問い合わせ 根香寺 TEL:087-881-3329
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
白峯寺(四国八十八ヶ所霊場第81番札所)

白峯寺(四国八十八ヶ所霊場第81番札所)

香川県坂出市、五色台西端の白峰山中腹にある真言宗御室派の古刹、白峯寺(しろみねじ)。寺の縁起によれば、弘仁6年(815年)、空海(弘法大師)が白峰山に宝珠を埋め堂を建立、貞観2年(860年)、円珍(智証大師)が本尊の千手観音を刻んで安置した

一宮寺(四国八十八ヶ所霊場第83番札所)

一宮寺(四国八十八ヶ所霊場第83番札所)

香川県高松市一宮町にある四国八十八ヶ所霊場第83番札所、一宮寺(いちのみやじ)。讃岐一之宮・田村神社の第一別当(神社を管理する寺)が寺名の由来。創建の歴史は古く、大宝年間(701年~704年)、奈良仏教の興隆の礎を築いた義淵(ぎえん)の開基

 

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