香川県高松市にある国の特別名勝が栗林公園(りつりんこうえん)。大正2年に整備開園した北庭、群鴨池(ぐんおうち)の南端にあるのが鴨場。江戸時代、現在の北庭部分は、群鴨池を中心にした藩主の鴨猟の鴨場。平成4年に往時の鴨引堀、小土手、小覗・大覗(覗き小屋)が復元されています。
かつての鴨場の鴨引堀、小覗などを復元
讃岐国高松藩10代藩主・松平頼胤(まつだいらよりたね=幕末の藩主)は、鴨猟の邪魔になるという理由で、群鴨池(ぐんおうち)周辺の栗の木を3本だけ残して伐採してしまったという逸話が残されています。
施設は復元ですが、現存する鴨猟の鴨場としては最大規模のもので、飼育して慣らした鴨を囮(おとり)に泳がせ、野生の鴨を鴨引堀に引き寄せて叉手網(さであみ)や鷹を使って捕獲するもの。
江戸時代には諸大名が鴨猟をしていましたが、現在、国内で鴨の捕獲が行なわれているのは、宮内庁の埼玉鴨場(玉県越谷市)と新浜鴨場(千葉県市川市)の2ヶ所のみ(捕獲した鴨は足環を付けて、大きさなどを記録した後に放鳥されています)。
鴨場として現存するのは宮内庁の2ヶ所以外には、浜離宮恩賜庭園(東京都中央区)、天赦園(愛媛県宇和島市)とこの栗林公園のみです。
栗林公園の鴨場も、明治時代に畑となり、その後に、遊技場、さらに高松市立美術館の建物が建ち、大きく改変してしまいましたが、昭和63年に美術館が移転したことで、平成元年から復元工事を開始し、平成5年に完成したもの。
鴨引堀の最奥に設置される小覗(覗き小屋)には、鷹匠(たがじょう)が潜んで堀に入る鴨を観察し、その後ろに叉手網を手にした人が控えていました。
鷹匠の合図で小土手に移動し、人の気配に驚いて飛び立つ鴨を、網で一網打尽にしたのです。
ちなみに現在の北門は、当時の藩主が出入りに使った門です。
栗林公園・鴨場 | |
名称 | 栗林公園・鴨場/りつりんこうえん・かもば |
所在地 | 香川県高松市栗林町1-2-16 |
関連HP | 栗林公園公式ホームページ |
電車・バスで | JR栗林公園北口駅から徒歩3分、または、ことでん栗林公園駅から徒歩10分 |
ドライブで | 高松自動車道高松中央ICから約6km |
駐車場 | 栗林公園東門駐車場(30台/有料)・栗林公園北門前駐車場(32台/有料) |
問い合わせ | 香川県栗林公園観光事務所 TEL:087-833-7411/FAX:087-833-7420 |
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