印旛沼

印旛沼

千葉県の印西市、佐倉市、成田市、八千代市、栄町にまたがる湖面面積11.55平方キロの湖が印旛沼(いんばぬま)。利根川下流部にある湖沼で、北印旛沼、西印旛沼、中央排水路に分かれ、ローマ字のWの字に似た形状に。もともとは香取海(古鬼怒湾)の一部で、奈良時代以降の海退で海跡湖となったもの。手賀沼とともに県立印旛手賀自然公園に指定。

干拓事業で北印旛沼、西印旛沼に分断

家康の利根川東遷事業(とねがわとうせんじぎょう)によって印旛沼は利根川の下流になっています。

中央排水路部分もかつては湖でしたが、干拓事業で田圃となっています。
沼の面積は、北印旛沼(6.26平方キロ)と西印旛沼(5.29平方キロ)を合わせて11.55平方キロと、干拓事業が進む以前(29.0平方キロ)と比べて約半分に縮小していますが、水深は平均で1.7mと、干拓事業以前(0.7m~0.9m)に比べて倍増し、貯水量はほぼ同じになっています。

印旛沼の水は、現在も上水道、工業用水、農業用水に使われています。
周囲の田圃は、印旛沼よりも水位が低いため、農業用機場で揚水・排水が行なわれています。

西印旛沼の大和田機場(大和田排水機場)から東京湾へとつなぐ疏水路(印旛放水路)が新川(印旛沼~大和田機場)、花見川(大和田機場~東京湾)で、西印旛沼と北印旛沼を直結する印旛捷水路(いんばしょうすいろ)など印旛沼全体で「疏水百選」に選定されています。

印旛沼はへラブナ、ブラックバス釣りで有名。
西印旛沼の東岸には、野鳥の森、オートキャンプやバーベキューが楽しめる「印旛沼サンセットヒルズ」があります。
西印旛沼と印旛捷水路の合流部には双子公園(印旛沼自転車道山田休憩所/印西市山田干拓一区)があり、トイレ、駐車場、ナウマンゾウの親子の像があります。
印旛捷水路の掘削工事中(昭和41年)にナウマンゾウの化石が発見されたことにちなんだもの。

印旛放水路サイクリングロードが整備され、サイクリングを楽しむ人も増えています。
酒直水門~八千代市阿宗橋間は千葉県が管理する「印旛沼自転車道」、阿宗橋~大和田排水機場間は八千代市管理の「新川遊歩道」、千葉市弁天橋~稲毛海浜公園(検見川の浜)は千葉市の「花見川サイクリングロード」になっています。

印旛沼
印旛捷水路
印旛沼

印旛沼では養殖鰻、「ボサ漁」に注目!

成田市北須賀(北印旛沼の東岸・甚兵衛公園隣接)には「印旛沼漁協水産センター」があり、鰻、ナマズ、ドジョウ料理を提供しています。
印旛沼の鰻は、印旛沼漁業協同組合によれば、寒風の利根川にのぼるシラスウナギを飼育池でじっくり育てた、天然うなぎに近い「ぷりぷり」とした歯ごたえのある鰻なんだとか。
「印旛沼漁協水産センター」で通年販売されています。

「印旛沼漁協水産センター」が建つ国道464号の北印旛沼東岸部分は鰻店が並び「宗吾うなぎ街道」と呼ばれています。

また、印旛沼では現在でもクチボソ(モツゴ)、カワエビ、ウナギなどを取る漁師が健在。
印旛沼に息づく伝統漁法が、「ボサ漁」で仕掛けの網を湖中に沈め、網を住処(すみか)にした魚を20日〜30日後に引き上げるというもの。
「ボサ」とはカシの枝を束ねたもの、現在では水質保全も兼ねて網を使う人が大部分なんだとか。
「ボサ漁」が行なわれるのは11月〜4月で、「夏場は水草のヒシが沼を覆い、漁ができないから、冬場がピーク」とのこと。

印旛沼
名称 印旛沼/いんばぬま
所在地 千葉県印西市・佐倉市・成田市・八千代市・印旛郡栄町
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

【知られざるニッポン】vol.23 東京人なら知っておきたい! 「利根川東遷事業」

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佐倉ふるさと広場

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