髙田郁(たかだかおる)による人気の時代小説シリーズが、『みをつくし料理帖』。大坂出身の少女・澪が江戸で一流の料理人になるまでの波乱万丈な日々を描くストーリーで、テレビでドラマ化、さらに令和2年には映画化されてもいます。『みをつくし料理帖』に登場する酒粕汁(さけかすじる)を作ってみましょう。
まずは料理に使う良質な酒粕を調達
「酒粕を見て、酒を買え」で銘酒の酒蔵には良質の酒粕がある!
いい酒蔵を見極める方法のひとつに、「自慢の酒粕をチェックする」という取材班の裏技がありますが、純米酒、吟醸酒などを醸している酒蔵の酒粕なら間違いありません。
取材班が、今回使った酒粕は、埼玉県蓮田市の取材で購入した神亀酒造の酒粕です。
戦後の日本で一番最初に造石全量を純米酒に変え、純粋アルコールを添加した三増酒が主流の時代に純米酒オンリーを打ち出した酒蔵です。
埼玉県というとあまり日本酒がありませんが、「料理を引き立て、食事をすることに新しい喜びをもたらすもの」という神亀酒造のポリシーを充分に反映した銘酒を醸しています。
当然、酒粕も良質ということに。
そもそも酒粕とは何なのか、なぜ健康にいいのか!?
ヘルシー&アンチエージングの酒粕をぜひ料理に活用したい
酒粕は、酒造りの際、醪(もろみ)と呼ばれる発酵した柔らかい固形物を絞った後の絞り粕(かす)のこと。
発酵の過程で、醪のなかで溶けきれなかった米粒や麹(こうじ)、酵母(こうぼ)、清酒成分が混じっているので、文句なしの栄養食品というわけです。
酒粕をお湯に溶いた甘酒が「飲む点滴」といわれるのも栄養価がある証です。
案外知られていませんが、
「糖尿病・高血圧・心筋梗塞・アレルギー・ガン予防・アトピー・肌荒れ・シミ・シワ・ダイエット・うつ病・老化防止・ストレス緩和にもいいともいわれています」(神亀酒造)
とのこと。
加えて神亀酒造の酒粕は、コンクールの栄誉にも輝く純米酒の製造工程でできるため、無添加で混じりっ気なし。
つまりは「究極の酒粕」というわけなのです。
酒粕は酒屋でも販売されることがあるほか、スーパーでも大手酒造メーカーの酒粕が販売されています。
神亀酒造の場合はネットショップ「神亀の館」で購入が可能。
さてさて、純米酒が元という「究極の酒粕」を手に入れたのなら、いろいろ活用しない手はありません。
まずは、酒粕を使った料理の代表格である「粕汁(かすじる)」に挑戦してみましょう。
単なる粕汁では、芸がないので、『みをつくし料理帖』の酒粕汁に挑戦。
『みをつくし料理帖』の酒粕汁
実際に作ってみましょう! 作り方を紹介
そこで今回は、時代小説『みをつくし料理帖』(原作・高田郁/テレビ朝日のドラマスペシャルで主人公の澪を北川景子が熱演)に登場の、「ほっこり酒粕汁」を作ってみました。
【材料】
- 羅臼昆布
- かつお節(枕崎産、伊豆の田子産など)
- 大根、人参、こんにゃく適量
- 酒粕100g
- 塩鮭(なるべく塩分が少なめのもの)
- 油揚げ
- ネギ
- 日本酒(大さじ1)、味噌(30g)、醤油(大さじ1)
【料理手順】
- 羅臼昆布と、枕崎のかつお節で出汁(だし)をとります。
- 出汁に大根、人参、こんにゃくを入れて、柔らかくなるまでカタコト煮ます。
- その間に、すり鉢で酒粕100gをすります。鍋からとった出汁100ccを加えながら、滑らかになるまで混ぜ合わせます。
- 先ほどの鍋に塩鮭(塩分が多いと仕上がりが塩辛くなるのでご注意を)、油揚げ、ネギを加え、すり鉢で滑らかにした酒粕を加えます。
- ここに日本酒(大さじ1)、味噌(30g)、醤油(大さじ1)を加え、ひと煮立ちさせれば完成です。
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |