鹿児島城(鶴丸城)

鹿児島城(鶴丸城)

慶長5年(1600年)の関ヶ原の合戦で島津家は西軍に属しますが、徳川家重臣・井伊直政の取りなしで領地を安堵され、島津義弘の三男・島津家久が当主となり鹿児島藩(通称薩摩藩)を立藩。慶長7年(1602年)、初代藩主・島津家久が鹿児島に築城し、その後明治維新を迎えるまで島津氏12代に渡り居城となったのが鹿児島城(鶴丸城)です。

「人をもって城となす」の方針から天守は築かず

鹿児島城(鶴丸城)

戦国大名から転封を経ずして近世の大名に移行した鹿児島藩(薩摩藩)は、地方支配の方法として旧来の外城制(とじょうせい=城下に武士を集めず、外城と呼ばれる地域の拠点を残す)という独特の支配構造を残存しました。
鹿児島城はの城下は外城制の適用外で、鹿児島藩庁の直轄支配となっています。

そのため鹿児島城も近世城郭として特有の天守を持たず、城山(上山城/うえやまじょう)を天然の要塞としてその麓に本丸御殿を築いただけの小規模な城となっています(上山城は元和の一国一城令で廃城になっています)。

近世城郭を築かなかった背景には、徳川幕府への配慮、さらには77万石といってもシラス台地が多い土地ゆえに実際の実効石高はその半分ともいわれる財政状況があったと推測できます。
「人をもって城となす」という方針から、万一の敵や戦などに対しては地方の各郷に郷士を配して、普段は農業をしながらいざという時に備えるという中世的な制度が温存されたのです。

鹿児島に築城を決めた島津家久の父・島津義弘は、海岸に近いことなどを理由にこの地を選ぶことに反対の姿勢でした。
実際に幕末の薩英戦争ではイギリス艦の砲撃を受けているので、島津義弘の危惧は200年以上を経て現実に。
ただし薩英戦争では鹿児島城に目標となる天守がなく、簡素な造りだったためにイギリス軍艦は寺を天守と間違えて砲撃しています。

鹿児島藩の藩庁は、堀と石垣のみ現存

鹿児島城(鶴丸城)

正式名称は鹿児島城ですが、地元では鶴丸城と通称されています。
これは館の形状が鶴が羽を広げたように見えたことからといわれていますが、天保14年(1843年)に刊行の『三国名勝図会』に「鹿児島ノ城 鹿児島坂本村にあり、即府治なり、山に據て城とす、其山は鶴丸山といふ、此山の形、舞鶴に似たり、故に名を得たり」記されていることから、鶴丸山という山の名に由来することがわかります。

北に本丸、南に二の丸を配した鹿児島城ですが、近世の城の防御としては脆いものがありました。

明治初年には大手口の櫓門、兵具所多門櫓、角櫓(隅櫓)、書院造の御殿などがありましたが、明治6年12月、大火のために本丸のすべてを焼失、さらに明治10年の西南戦争で二の丸が焼失しています。

明治以降は、第七高等学校造士館の校地として使用され、さらに現在は本丸跡に鹿児島県歴史資料センター黎明館、二の丸跡には鹿児島県立図書館、鹿児島市立美術館、鹿児島県立博物館などが建っています。

一部に残った石垣、堀、西郷隆盛の私学校跡地である出丸跡、大手門との間に架かる石橋に往時を偲ぶことができるのみですが、令和2年に鶴丸城御楼門が復元公開されています。
城の周りには武家屋敷、さらにその周辺には町屋敷を配置する近世的な城下町の町割は寛永年間には完成し、今の鹿児島市街の基本となっているのです。

平成20年のNHK大河ドラマ『篤姫』のヒロイン篤姫(=宮崎あおい)は、嘉永6年(1853年)、島津斉彬(=高橋英樹)の実子として2ヶ月余りを鹿児島城で過ごし、桜島を描いた絵を手に、江戸へと旅立っています。
平成30年のNHK大河ドラマ『西郷どん』では西郷隆盛ゆかりの地として注目を集めました。

鹿児島城(鶴丸城)
鹿児島城(鶴丸城)
名称 鹿児島城(鶴丸城)/かごしまじょう(つるまるじょう)
所在地 鹿児島県鹿児島市城山町7-2
関連HP 鹿児島観光コンベンション協会公式サイト
電車・バスで 鹿児島市電市役所前停留場から徒歩5分
ドライブで 九州自動車道鹿児島北ICから約5.7km。または、鹿児島東西道路田上ICから約5.4km
駐車場 鹿児島県歴史資料センター黎明館駐車場(125台/無料)
問い合わせ 鹿児島県歴史資料センター黎明館 TEL:099-222-5100
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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