鬼来迎

鬼来迎

千葉県横芝光町虫生の広済寺に伝わる鬼来迎(きらいごう)は、因果応報(いんがおうほう)、勧善懲悪(かんぜんちょうあく)を説く、全国で唯一の古典的地獄劇で国の重要無形民俗文化財に指定。毎年8月16日、施餓鬼供養終了後(15:00頃)に広済寺で奉納されています。

鎌倉時代に始まったといわれる古典的地獄劇

鬼来迎

鬼来迎は鬼舞とも呼ばれ、地獄を再現した劇。
由来は古く、建久7年(1196年)、薩摩国の禅僧・石屋が慈士山地蔵院広西寺を建立した鎌倉時代初期にまで遡ります。
運慶、湛慶、安阿弥の3人の彫刻師が閻魔大王、倶生神、祖老母、黒鬼、赤鬼等の面象を彫刻し、8月16日に初演したのが始まりという。
旧暦の1月16日と、7月16日は「閻魔斎日」で、地獄の釜の開く日。
地獄の釜の蓋が開いて閻魔大王も、地獄の鬼も休みとされています。
鬼たちも仕事を休むのだから私たちも仕事を休みましょうという意味あいが、お盆休みなのです。

鬼来迎の舞台だった地蔵堂は、昭和46年にがけ崩れが起きて倒壊し、現在は仮設の舞台で、地区の演者らによって行なわれています。
舞台の設定から衣装整備まで、すべてが地元民の手によるものですが、東京国立劇場でも上演されるほどの腕前。

ちなみに劇は、地獄の責め苦とその救済を描いた「大序〜賽の河原〜釜入れ〜死出の山」の4段と、広済寺建立縁起を物語る「和尚道行〜墓参〜和尚物語」の3段の全7段で、上演時間は1時間30分にも及びます。
現在は「大序〜賽の河原〜釜入れ〜死出の山」の4段のみが上演されています。

同様な仮面地獄劇は、利根川下流域を中心にいくつかの寺に伝えられていましたが、現在まで演じ続けてきたのは、ここ広済寺の鬼来迎のみとなっています。

仏教における因果応報と地獄の関係とは!?
釈迦は、善因善果(ぜんいんぜんか)、悪因悪果(あくいんあっか)、そして自因自果(じいんじか)と説きます。
自分のまいた種の結果は、自分が現れるということで、自業自得ともいいます。
よいのも悪いのも、自分に現れる結果のすべては、自業自得。
よい行いをすればよい結果がやってくる。悪い行いをすれば悪い結果がやってくるという仏教の教えが因果応報で、鬼来迎で説かれる道理もこの因果応報なのです。
仏教には、現世での行為によって来世の境遇が決まり、それが永遠に繰り返されている、という世界観があります。
つまり、この世で悪事を働けば、来世では地獄で辛苦を味わわなければならないとされ(仏教では死後、人間は三途の川を渡り、7日ごとに閻魔をはじめとする十王の7回の裁きを受け、最終的に最も罪の重いものは地獄に落とされるとしています)、日本でも平安時代以降に民衆の中にその考えが浸透していきました。
鬼来迎
開催日時 8月16日15:00頃
所在地 千葉県山武郡横芝光町横芝光町虫生483
場所 広済寺
関連HP 横芝光町公式ホームページ
電車・バスで JR横芝駅からタクシーで10分
問い合わせ 横芝光町社会文化課 TEL:0479-84-1358
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

 

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