神奈川県横須賀市深田台にある、横須賀市文化会館脇から中央公園へと上る坂道(車道)が、これっきり坂。あくまでも通称ですが、ここが昭和51年に山口百恵が歌って大ヒットした『横須賀ストーリー』(作詞:阿木燿子、作曲:宇崎竜童)に登場する「急な坂道」。「今も海が見えるでしょうか」は中央公園のことなのです。
『横須賀ストーリー』の「急な坂道」がここ!
山口百恵は、小学校2年時に横須賀市立鶴久保小学校に入学。
横須賀市立不入斗中学校在学中、日本テレビの視聴者参加型歌手オーディション番組『スター誕生!』でデビュー。
引退前年の昭和55年9月刊行した自叙伝『蒼い時』序章に、「あの街を去る前日の中央公園。さようならと決して言わなかった友達。いつでも帰ってこいと言った友達。それなのに遠くなってしまった街」と意味深長に綴られたのが中央公園です。
この自叙伝『蒼い時』より4年ほど前にリリースされた『横須賀ストーリー』ですが、「宇崎さんに曲を書いてほしい・・・」と阿木燿子、宇崎竜童の黄金コンビを指名したのも山口百恵本人(前年に阿木燿子・宇崎竜童のコンビで『港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ』が大ヒット)。
反対を押しのけ音楽プロデューサー酒井正利の橋渡しで、「彼女の実家に近い歌がアルバムに1曲くらい入っていてもいい」(宇崎竜童)ということで、阿木燿子が横須賀舞台の詞を書き上げ、「歌詞を見た瞬間にメロディーが浮かんで」(宇崎竜童)、『横須賀ストーリー』が誕生したのです。
作詞を担当した、阿木燿子も実家は横須賀(「子育てを終えた両親が晩年、横須賀に引っ越したので、私にとれば実家のある街であり、故郷みたいなものである」)。
山口百恵が横須賀出身ということで、横須賀をテーマにした曲が生まれたのです。
「横浜は明るい港町ですけど、横須賀は軍港でもあり、軍艦も停泊していて、同じ港町なのに、どこか陰があるんです」(阿木燿子)。
「急な坂道」を上って、「今も海が見えるでしょうか」(中央公園)は、なぜかピタリと自叙伝『蒼い時』にも重なります(阿木燿子と山口百恵は、作詞段階では会っていません)。
オリコンで山口百恵の最大ヒットシングルとなっただけでなく、『青い果実』・『ひと夏の経験』路線(大人びた少女路線)からの転換となった名曲になりました(以降、阿木燿子・宇崎竜童コンビでシングル12作品リリース)。
平成20年12月18日から京浜急行の横須賀中央駅で接近メロディとして『横須賀ストーリー』が導入されているように、横須賀を代表するご当地ソングになっています。
名称 | これっきり坂/これっきりざか |
所在地 | 神奈川県横須賀市深田台 |
電車・バスで | 京急横須賀中央駅から徒歩15分 |
ドライブで | 横浜横須賀道路横須賀ICから約5km |
駐車場 | 文化会館駐車場(有料)を利用 |
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